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老後も死ぬまで働く社会か⁉️「老後レス社会」

本(老後レス社会)

朝日新聞に掲載された連載記事を単行本化した本です。当時の記事に新たに取材を加えて、より掘り下げた内容になっています。
昨年この記事を初めて読んだ時の強い印象は、今でも覚えています。現役を引退した老後は、悠々自適な年金生活を送るという、従来の「老後」が無くなるというもので、生活のために老後も死ぬまで働かなくてはいけないという厳しい現実を、突き付けたものでした。

昨年65歳となり定年を迎えた私にとっては、まさにリアルタイムでの現実問題で、私も含めて多くの人が年金だけでは生活できないという現実は、もはや常識ではありながらも、改めてその現実を痛感するものでした。

この記事で知った当時73歳の交通誘導員の男性が書いた「交通誘導員ヨレヨレ日記」も早速購入して、読んでみました。
本書の第1章では高齢者の労働状況が書かれていますが、3章では失われた20年の就職氷河期に社会人となったロスジェネ(ロストジェネレーション)についての取材で、正社員になれずに多くが非正規社員となったこの世代は、第二次ベビーブーム世代と重なります。

この世代が高齢になった時に、老後レスの問題が顕在化するとされ、特に非正規の女性の生活が立ち行かなくなり、生活保護が激増すると予測されます。
将来的に人口減少が加速化する日本においては、当然労働人口も減少が予想され、そのすべてを外国人でカバーするのは不可能とされています。
そうした観点から日本で残された人材資源とは、専業主婦や非正規雇用の女性であり高齢者になる訳です。社会全体でいかにこうした女性と高齢者を、労働力として活用するかが今後の課題となってきます。

最終章の「老後レス社会を生きる」で以下のような文章があるので引用しますと、
「中高年が活躍できないのは、マネジメント側に使う気持ちと能力がないから」
「再雇用されたシニアで人気があるのは、自分で手足を動かせる人」

将来的な日本の経済構造を鑑みれば、高齢者の労働力に頼らざるを得ないという現状を認識しながら、高齢者が単に働くだけでなく、生きがいを感じてポジティブに働ける労働環境作りが、社会構造として必要であると改めて実感しました。

最後に個人的な所見を述べさせてもらえば、私の場合、昨年の定年延長に伴い病気で入院した経過もあって、週休を3日に増やして当然減給となりましたが、高齢者として多様化する労働環境を、様々に模索している最中でもあります。

#老後レス社会 #交通誘導員ヨレヨレ日記 #年金 #年金問題 #ロストジェネレーション #ロスジェネ

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