ロシアのウクライナ侵攻に合わせたタイムリーの映画「独裁者たちのとき」‼️
映画(独裁者たちのとき)
ロシアの鬼才アレクサンドル・ソクーロフ監督の映画です。新聞の映画評を見て、ヒトラーとムソリーニの2ショット写真が何ともインパクトがあったので、観ることにしました。
ただ内容はネタバレになるので、事前には読まないことにしました。
この監督、恥ずかしながらその作品を観るのは初めてですが、映画評によると数々の先鋭的な作品を監督しています。
冒頭、この作品にはAI作成画像やフェイクニュースの映像は一切含まれず、映像のアーカイブだけで制作したとテロップが流れます。
ただ観始めると、明らかにドキュメンタリーとは違う映像で、登場人物は上記のヒトラーとムソリーニ、さらにスターリンとチャーチル、あとナポレオンとキリストらしき人物も登場します。
登場人物はそれぞれ相手と会話をしていますが、その内容は本音というか愚痴というか、あるいは軽蔑したり罵ったりと、容赦ない会話が繰り広げられます。
この展開を理解できずに観賞後に映画評を読むと、天国の扉を目指して冥界をさまよう4人ということで、4人の姿は全て記録映像から抜き出して合成、セリフは実際の会話や手記から採って組み合わせたというものでした。
勿論ウクライナ侵攻を始めた独裁者のプーチン大統領を意識したものであるのは明白ですが、改めて独裁者の実態を歴史の教科書から抽出して示したものだと思います。
監督が言うには「どれほどの知性と道徳心を持った人物に、私たちは命と運命を預けていいのか?欧州の人間は今、それを理解することが必要だ」そこにあるのは独裁者の「傲慢で卑小で滑稽な姿」でもあるのです。
上記の言葉をまとめると、知性と道徳心が欠如した傲慢で卑小、滑稽な姿が独裁者の実像として浮かび上がります。
周りにイエスマンばかりを揃え、もはや知性や道徳心の制御が効かなくなった者の行く末は、これも歴史の教科書が教えてくれています。それでも独裁者は、権力欲の象徴として誕生してくる。これもまた歴史が証明しています。
それほどまでに欲深いのも人間の一つの性(さが)なのかもしれません。独裁者に私たちにできることは、その飽くなき欲を戒め続けることだと改めて実感しました。(写真は公式サイトより引用しました)