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駅そばの達人が食べ歩いた日本各地の駅ラーメン「全国「駅ラーメン」探訪」

本(全国「駅ラーメン」探訪)

全国の駅そばを食べ歩いた筆者による「駅ラーメン」の探訪記です。筆者の鈴木弘毅さんは駅そば約3000軒を食べ歩いた経験から、駅そばの様々な地域性や特徴、ジャンル分けなどを独自に分析したまさにフィールドワークの達人ですが、この駅そばでの法則性を駅ラーメンにも応用して、全国の駅ラーメンを食べ歩いて取材しています。

先ず第1章では、独自のこだわりから「駅ラーメン」の定義ですが、「安くてすぐに食べられる」駅そばのモットーをそのまま適用するのは難しく曖昧さを残しながらも、駅の改札内ホームにある立ち食いラーメンから、改札外駅ビル内のラーメン専門店や中華料理屋などで提供される廉価なラーメンなどが含まれ、逆に観光客相手のラーメンストリートなどはモットーから外れるので含んでいません。

次に「駅ナカ」の定義はどちらかといえば地理的な定義づけで、駅のホームや駅ビル地下街や上層階、さらに駅ビルに隣接するビルまで含み、「駅ラーメン」の定義に沿ったものと、これまた厳密な境界線は設定せずに曖昧さを残しています。

さらに駅ラーメンのジャンル分けですが、これはインスタントラーメンを参考にしたという「醤油・味噌・塩・豚骨」の4種類。豚骨が出汁なので、他3つの調味料とは異なりますが、これも即席ラーメンで定着しているこの分け方が分かりやすいと書いています。
その中でも駅ラーメンで最も多いのが醤油味で、これはラーメンの発祥が醤油味の中華そばだったのが由来しているとのこと。

第2章のご当地ラーメンでは、北から南まで全国のご当地駅ラーメンが紹介されており、私も実際に駅ホームで食べたラーメンが掲載されています。醤油味がベースだった駅ラーメンも、ご当地ラーメンを反映した駅ラーメンが登場しますが、味噌ラーメンが有名な札幌に対して、同じ北海道でも旭川は醤油ラーメンで、函館は塩ラーメンと異なる味となります。
塩ラーメンの具材には魚介系が合うというのが筆者の見解ですが、確かに海が近い駅ラーメンには塩味に豊富な魚介系のトッピングが多く登場します。

第3章の異業種系の駅ラーメンでは、駅そば店がそばつゆと中華麺で作る駅ラーメンは、かえし(だし醤油)とごま油を加えることで、中華スープに変身させる裏技を紹介しています。
第4章の駅ラーメンの変わり種は応用編として、様々な個性的なラーメンが紹介されており、ラーメン好きにはまた違った楽しみ方ができると思います。

コストの関係でカラー写真が冒頭部分だけなのが残念ですが、筆者の駅そばにも劣らない駅ラーメン好きは、モノクロの本文写真と文章からも十分に伝わり、読んだ後に間違いなく駅でのラーメンが食べたくなる1冊です(笑)。

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