性的アピールを削ぎ落とした女性画KYNEの展覧会「福岡市美術館」
KYNE展覧会(敬称略。長文失礼します)
福岡を中心に活動するイラストレーターのKYNEの展覧会が開催中で、会場の福岡市美術館へと行ってきました。
KYNEの詳細なプロフィールは明かされていませんが、高校では油彩画を描きながらも、大学では日本画を専攻したと図録(ガイド本)に書いてあります。
この作家の存在を知ったのは、マガジンハウスが出版する雑誌「カーサブルータス」の年間購読のプレゼンだったトートバッグに描かれた女性のイラストでした。
それまでのデザインはコルビュジエだったのですが、版権が切れたのか、このイラストに変更になっていました。それ以来、毎年更新のたびに送ってくるので、数えてみたら7個もありました。
地元開催ということで、鑑賞後に買った図録には館長の詳しく解説が載っています。
女性画が中心の展示ですから、作者のKYNEは男性ですが、従来の女性画にありがちな、性的なイメージやメッセージ、さらには潜在的な性的傾向も、見る側がその印象を受けないというのが、率直な感想です。
イラストレーションに登場する女性というものは、商業主義の影響もあり、何らかの性的アピールを要求されるケースが少なくありません。これは歴史的にみても、商業美術のポスターが登場した頃よりの傾向であったと思います。
例えが古くなりますが、かつてパルコで一世を風靡した山口はるみ(女性ですが)のイラストが、最も分かりやすいと思います。
ただ今回は女性を描きながらも、そうした性的なアピールやメッセージが、絵の中から削ぎ落とされた印象を受けました。
女性でありながら中性的であり、女性を描きながらも、ノンバイナリージェンダーとして内面から存在感を醸し出している感じさえありました。
図録で江口寿史との比較がなされていましたが、一見すると類似性があるように感じながらも、見続けると画風や絵が醸し出すイメージ、さらにそこから発せられるメッセージ性の違いがわかってきます。
最後にどうしても言いたい一言。
・入場券が1700円 ・図録(ガイド本)が3900円
・20分以下だった鑑賞時間(展示作品の少なさ)
地元アーティストを支援したい美術館側の企画と作家への先行投資の思惑があったかもしれませんが、それにしても入場券もガイド本も高すぎ!
入場券はかなり知名度が高い作家の相場ですし、ガイド本は通常2千円台で、高くても3千円程です。
やはり、今のこの作家のレベルでは、公共の美術館は器がデカ過ぎたと感じました。
おまけ・写真4枚目は、この美術館来訪ではお約束の草間彌生の巨大かぼちゃと、最後は前川國男設計の美術館の模型です😊
おまけのおまけ・図録をめくってイラストの女性が、誰に似ているかと考えたら、井桁弘恵と本上まなみという結論になりました😄
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