朝ドラ「ひよっこ」オープニングで話題だった「ミニチュアライフ展」
美術(ミニチュアライフ展)
朝ドラ「ひよっこ」のオープニング映像で話題になった、ミニチュア写真家で見立て作家の田中達也さんの展覧会が北九州市で開催されており、ミニチュアは昔から好きなので行って見てみました。
会場の旧大連航路上屋は門司港レトロ地区に位置する建物で、かつて門司と大連を結んだ航路の発着所をリノベーションして、新たな観光施設として再利用しています。
会場に入ると先ず作者の田中さんのプロフィールが紹介されており、次に小型模型であるミニチュアの制作過程が順番に写真で説明されています。先ず浮かんだアイデアはすかさずスマホのアプリにメモして忘れないようにし、人形はポーズごとに分けて収納、また食品サンプルは素材としてだけでなくアイデア検討にも重宝するとのことです。
通常のドールハウスのようなミニチュアは、実物のスケールを縮小して忠実かつ精巧に再現していますが、この展覧会のミニチュアは、通常の食器や日用品などをそのまま使って、独特のミニチュアの世界を形付けているのが特徴です。
これは朝ドラ「ひよっこ」でもフランスパンを電車に見立てたように、様々なものがそれらしいものに変身しているのです。
稲刈りに見立てたブラシ、椅子になったクリップ、サッカースタジアムになったタイヤ、テニスコートになったスポンジたわし、水泳のスタート台になったリング綴じ、花火になった菊の花、紅葉の樹木となった赤や黄色の毛糸玉、樹木となったブロッコリー、ピサの斜塔に見立てたブリュレ皿、特急列車に変身した百円ライター、田んぼのあぜ道に見立て畳のヘリなどなど。
さらにミニチュア写真のネーミングもひとひねりしたものが多く、日用品を模型の世界で別の物に変身させるユーモラスな視点が、そのままネーミングにも生きています。写真撮影が可能だったので、思わず次々と撮ってしまい、最後はスマホのバッテリー残量が少なくなってしまう程でした。
こうしたミニチュアの展覧会は、その精巧さに感心して見入ってしまうことが多いのですが、今回はそれにプラスしてそのユーモラスな着眼点にも注目して、鑑賞することができました。
最初のメイキングの写真を見ながら、やはりプロになるには、これくらいのハイレベルなオタク度が必要であると再認識した次第です。私自身もオタクであることは自認していますが、まだまだソフトオタクで、プロのハードオタクには及ばないと痛感しました。