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#24 はい、旧耐震の家あります
今日は住宅の耐震基準について。
昭和以前から続くまちの多くが、
市街地の中に旧耐震の建物が密集しているエリアを持っている
と思う。
ウチのまちにも旧耐震の建物がいっぱいある。
と言うか、ほぼ旧耐震!?
そもそも、旧耐震って何?
耐震基準と聞くと、
「姉歯耐震偽装事件」を思い出す人もいるかもしれない。
…若者は知らないか。
この時は、本当は耐震基準を満たしていないのに、
基準をクリアしているように見える書類を作って、
それが審査を通過しちゃったんで問題になったんだよね。
その「耐震基準」で合ってます。
この耐震基準ってやつは、
昭和56年5月31日まで
「震度5程度の地震で倒れないこと」を目標にしていた。
でも、最大震度5強を記録した宮城県沖地震(昭和53年6月12日)など
大きな地震も度々発生していたので、
建築基準法施行令を改正して、
「震度6強~7程度の大規模地震でも倒れたりしないような基準」に
レベルアップした訳です。
これは推測だけど、住宅の建築技術が向上してきたことも影響していたと思う。
それで、昭和56年5月31日までの古い耐震基準で建てられた建物を
旧耐震基準の建物、
6月1日以降の新しい耐震基準で建てられた建物を
新耐震基準の建物と読んでいます。
つまり、旧耐震の建物は、地震の時に比較的潰れやすい。
当然ながら、地震は1棟だけ揺れるってことは無く、
ある程度のエリアがまとまって被害を受ける。
旧耐震の密集しているエリアでは、
地震の時に甚大な被害が発生する恐れがあるってこと。
オレの方が先に死ぬよ!
これに対して、行政では、建替えや補強を勧める補助金を出したり、周知を図ったりしている。
けど、なかなか建替えが進まない状況にある。
建替えや補強をするには多額の費用が必要だけど、
高齢者だとローンを組みにくい。
また、高齢者だけの世帯や独居高齢者の中には
「建替えたところで、自分の方が先に死ぬよ!」って言っている人もいる。
そんな背景もあり、
高齢化が進んだ地方のまちなかには、
大きな地震がきた時に倒れるかもしれない住宅が結構残っている。
これをどうにかできないものか。
自分が思いつく案は4つ。
① 公営住宅
② 区画整理
③ 補助拡充
④ 待つ
① 公営住宅
市街地に空き家も多いことから、
そういった空地を活用して高齢者向け公営住宅を建てる。
旧耐震の住宅に住む方を優先的に入居させる。
残った住宅はリノベーションし、商店として活用する。
賃料低めで新規出店者を募る。
② 区画整理
公共事業として区画整理をし、該当世帯に移転補償費を払って、
そのお金で、ダウンサイズした新しい住宅を建ててもらったり、
民間賃貸住宅に引っ越してもらう。
整理した区画は、商業施設や公共用地として活用する。
③ 補助拡充
今は耐震補強や建替えに掛かる費用の一部を補助しているが、
もっと補助率を上げて、持ち出しがホントに少しになるようにする。
さらに、新築住宅の固定資産税も減免する。
④ 待つ
新しい工法等により、低価格で耐震補強が出来るようになるまで待つ。
居住者が施設に移ったり、亡くなられるまで待つ。
それまでに大きな地震が来ないことを祈る。
個人的には
①か②を望む。
市街地の住宅の多くが、店舗併用の建物になっており、
土地利用的にも商業施設、商業店舗としての利用が好ましいと思う。
住宅地の中の物件の場合には、お隣さんが庭として活用しても良いと思う。
けど、結構な額と期間の事業になるので、
自治体としては、かなり勇気が必要な事業だろう。
自治体だけが汗をかくのではなく、
公民連携によって、公共投資と民間投資が協調して行われる手法があれば
と思う。
そう言えば、
思い当たる事業が1つある。
大阪府大東市の「morinekiプロジェクト」
同プロジェクトは市営住宅の再建をPPP手法を用いて実施した
全国初の事例。
重要なのは、行政と民間の協調。
「市長(または担当課長や担当者)が替わったのでやめます」
って梯子外されたり、
「行政の意思決定を待ってては何も始められない」
と暴走したり、
そんなことでは成し遂げられない方法。
針の孔を通すような難しい事業だけど、その効果は絶大。
住民よし、行政よし、民間よし。
住宅供給が必要なウチのまちでも出来たら良いなぁ
と思うが、夢物語かもね。
最後に
「morinekiプロジェクト」の詳細については、
株式会社コーミンのHPや入江代表の著書👇をご確認ください。