
40:若手と中堅
業界によって違うと思うが、芸人の世界では売れる時期によっては30代でも若手とされる。上が詰まってるとも考えられるが、芸を極めるということに定年退職がないのも要因の一つだ。
TVなどのバラエティ番組を観る時間は平均より多い気がするので、バラエティを見るたびにその若手の言動に関して思うことがある。
とうとう若手が自分と同じ年代になってきた、ということだ。
無論、若手主催のライブや一部の深夜番組もあるが、いわゆるゴールデン番組に同年代の活躍が見受けられる。
そこで、彼らの発するワードにハッとすることがある。
ポケモンや、ワンピースの話をするからだ。
一回り上の世代が取り締まる世界に慣れてしまったせいで、不良漫画から格闘漫画などの知識が自然と入ってきてしまい、それが正義なんだと刷り込まれてしまう。
そして幅を利かせてる彼らの年代の主戦場で、あるあるネタとして消費されている。
そこに、僕らの年代の話題を公共の電波で発信することに、未だにドキッとしてしまう。
「え、それ分かるの??」「言って良いの?」と。
例え若い話題でも、国民的娯楽ならある程度は分かるものだけど、やっぱり毎回ドキっとしてしまう。
「分からない!」と糾弾されるのかなという不安感が、歳上と接することが多い僕にどこか過ってしまうからだ。
けど、これは古来からずっと行われたこと。
結局は多感な時期の思い出を語りたくなるものだ。
僕の代が現場の主戦場になる際には、同じことが起こる。
きっと、そのときの若手も僕と同じ気持ちになる。
それでいい。
時代には抗えない。
最後にドイツの哲学者、ヘーゲルの言葉で締めようと思う。
「人間が歴史を学んで分かることは、人間は歴史から何も学ばないということだけだ」