「普通」
世の中でよく言われる「普通」
普通は〜、普通なら〜、なんて会話はよく聞く。
あそこの家のお子さんは〜、家はいくらで〜。
なんて。
いろんなとこで、いろんな普通が飛び交う。
では、普通とは一体どういうことなのか。
調べてみた。
どこにでもあるような、ありふれたものであること。他と特に異なる性質を持ってはいないさま。
と、Google先生。
しかし何を持って普通と言えるのか。
普通とは個人個人の価値観であって、個人の中にある物差しで勝手に判断しているだけではないのだろうか。
そんなようなことを言っている人も少なくないだろう。
わたしがこのことに気付かされたのは昔働いていた職場の人の一言。
「僕らの普通はこれが普通なんだ」
20代半ば、一般企業からクリエイティブな職場に飛び込んだ時のことだった。
働く時間も休みも固定ではなく、プライベートと仕事が一体となっている環境。
知らない世界でのそんな環境に慣れるのも時間がかかる。
なんで休みなのに、普通はあーなのにこーなのに、と思っていた。
そんな時言われた一言に納得するのにも時間がかかったが、今ではよくわかる気がする。
そこで関わってきた人たちはみんないつも楽しそうでかっこいい、今でもこれからも憧れの存在だ。
わたしは今30代前半。
結婚して4年目。
古いアパートに越してきて5年目。
子供はいない。
我が家の普通。
家でご飯を作ることもほとんどない。
夫が仕事で遅くなろうが、休みの日に仕事に行こうが何も言わない。
これもまた我が家では普通。
友人や親戚は子供が産まれ、家を買う。
新しく車を買ったんだと話にあがる。
大きなお家、かっこいい車。
人を羨ましく思う時期ももちろんあったが、それも年齢と共に薄れているように思う。
いいのか悪いのか。
わたしはわたしの中の普通で楽しければいい。
と、友人の新居に招待された帰り道、ボロボロの原付に乗って秋の匂いを感じながら思った話。