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Subnauticaのクリア後感想(ネタバレあり)
台風が去り、涼し気で風通しの良い朝です。手洗いしたタオル生地のパーカーを肩にかけて、朝ごはんにと買った近所のカレーパンを食べ、やっとこの文章に手を付け始めました。
今年の初めあたりから、OuterWildsクリアの余韻を引きずって、近しいゲームを探すようになり、手に取ったうちの一つがSubnautica。ずいぶんと長いこと遊んでいたように思います。
私自身、ホラーが大の苦手なため途中で何度も手が止まり、でも辞めるのも…ここまで見てくれた方もいるのに…と励まされながらどうにかエンディングを迎えることができました。長い深海巡りでしたが最後まで連れていってくださった皆様ありがとうございました。
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色彩豊かな海の魅力
墜落先は、海とは思えないほど鮮やかな水中、魅力的なバイオームやちょっとグロテスクな生物たち。開始時は水が足りない…おなかすいた…と自転車操業を繰り返していましたが。とりあえずサバイバルだからナイフを作っておこう!という勘が功を奏して序盤から楽に進められたのではないかと思います。
悠々と回遊するクジラ(Reefback)は、最初こそその大きさに驚きましたが、無害とわかると平和の象徴と呼ぶようになり、深海奥深くから帰還したときにその姿をみると安心した気持ちになれました。
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逆にそれ以外はほぼ敵対生物を意識していたとしか言いようがなく、リヴァイアサン系に怯えながら海面から一度も水中を見ないような潜行であったり、海底で砂をほだててヤドカリのような進み方でした…。
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充実したデータバンク
ほかの遭難者の行く先、島に上陸した人の生活や、海の生き物についてまるで図鑑のように書かれていて、生物たちがより「そこにいた」という現実味が増しているようです。そして大きな唸り声を聞いた後から通信が途絶えてしまうのも…。物語について、海から得られる直接的な情報が少ない分、文書で想像が補足されるのはいいですね~。それにしてもアルテラ社の悪行が目立ちます。
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目的地を定めるためにはストーリーを追っていけばいいのですが、だいたいPDAを入手したタイミングは必至に泳いできた状態なことが多く、落ち着いてすぐ読めなかったのが大変でした。(一応、椅子に座りながらだと水分ゲージなども減らずに過ごすことができる)
見つからない設計図
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ストーリー途中のデバコマの使用というのは、ゲーム制作者が作った箱庭で遊ぶことから飛び出してしまう、私にとっては禁忌ともいえる行為です。Mod拡張とも違い、不意に世界の裏側を覗いてしまったり、何もせずにスーパーマンになってしまう虚しさを抱えることとなります。
そのため、いつも一通りクリアしてからゲームルールを弄るのですが、今回初めてクリア前にデバコマを使用してしまいました。バグで埋もれてしまったスーツを取り出すため、サイクロプスの設計図がずっと見つからなかったため、の二つです。どうしようもないことだろうと思おうとしていますが、長いゲーム人生のなかで初めてのことだったので、しこりのように胸に残っていました。
エンディングまで
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話を戻しますね。そしてすべてが繋がった火山の最深部のシーエンペラーとの出会い。今まで脅かしてきたリヴァイアサン級の巨大生物がここにきて同じ目線で話しかけてくるとは…。各研究施設では次々に宇宙人の結末が明らかになり、過去に成しえなかった抗体について、プレイヤーが次にすべきことが明確になります。それまでは流れるような好奇心で進めていましたが、初めて「助けなきゃ…!」という意識が生まれました。
特に序盤から登場していたピーパーが、実は物語の重要な役割を果たしていたという仕組みにも驚かされました。だからあの、排水溝みたいなアレ…!と、点と点が繋がったときの「なるほど〜!」感はとても気持ちが良いものです。
身近なものが、自分の知識が深まったあとにもう一度見ると、また違った存在にみえてくる…というのは、普段の日常でもありますよね。大切なものは最初からそばにあるんだ。
ママさんの永い眠りと対比して、卵から孵った子供たちが元気に飛び出していくシーンは、心がキュッと苦しくなりました。 どうしようもない場所でも、母親として子どものために生き続けたママさん、諦めずにプレイヤーに念力(?)を送ってくれたおかげで導かれ、ついにはこの星の生態系が守られたんですね。
エンディングは無事に星からの脱出。アルテラ社もアレな感じですし戻り先もわかりません。しかしプレイヤーはこれまでの経験をもって進んでいくのでしょう。ママさんも最後に登場し、その存在は見えないけど見守っていてくれそうな。フジリュー版封神演義の妲己ちゃん。
んあ~海に落ちたわやばば!ぐらいの話だと思ってたら、いつのまにか海と宇宙と母なる星みたいなスケールの話になっていて面白かったです。
めでたしめでたし!
クリア後
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タイムカプセルを何度か拾い、内容も文字も読めないままに気にしていなかったのですが、最終盤でいざ自分が送る側になったときに「誰かにネタバレを極力伏せながらも面白さを伝えたい…!」という気持ちがふつふつと沸き起こりました。みんなこんな気持ちだったのね。
一緒に旅をした乗り物に名前をつけたり、塗装をしたりするのも楽しかったです。初代はバグで早々に埋もれてしまいましたが…
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宇宙船の墜落から始まり、キノコの森、ほの暗い緑色のロストリバー、ゴーストツリー、最深部の火山とたくさんの深海を堪能させて頂きました。本当に楽しかったな~!調べ物をしている間に見つかったNATIONAL GEOGRAPHICの記事を載せておきます。
海底下1万mに生命か、深海の火山から有機物
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/17/041200137/
深海掘削によって採取したサンプルは、「瓶に入れられた手紙のようなものだと思います」と、プルンパー氏はいう。
ネタバレその後
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ということで、もうちょっとシステムっぽい話にも触れます。
移動範囲が広くかつバイオーム配置(レベルデザイン)が作られているにも拘らず最後までミニマップ表示がないのは、自分の目で見て、確かめて、という制作陣の強い意思を感じます。
丸めてしまえば、アイテムレシピと潜れる深度が、プレイヤーの進捗率なわけですが、大海をベースにした演出で「一歩先が見えない深海の恐怖と好奇心」の体験に上手いこと繋げているな〜と思いました。たいていマッピングが出来れば「一度行ったことがあるから大丈夫」って気になるんですが、何度行ってもまた何か出てくるんじゃないかと恐ろしかったです。
この体験の例で言うと、脱出ポッドの救難信号は、「小さいお宝を見つけると近くに大きいお宝(沈没船や新情報)があるぞ」と刷り込みで行ってみたくなりますよね。 もし行き来させるだけなら、最初からプレイヤーを大きいお宝へ誘導できるはずなので、ヒントはあげるから自分で探索してね!と動かして、「おつかい感」を薄めたのかなと思います。実際にその通りのルートで見つけられたかは別ですが…
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さらに、
・目の前の大きな船がきになる!(起)
・赤茶色の汚染エリアは本能的に危なそう…(承)
・防護スーツを作れた!船行くぞ!!!!!!!(転)
・なんかいた………(無理)
という四コママンガのような流れを踏襲された方も多いのではないでしょうか。私だけだったらどうしよう。 感情の揺さぶりが激しすぎてトラウマものですが、ここで登場するリーパーリヴァイアサンはサントラジャケットや壁紙にも登場しているので、ゲームの顔ともいえる存在です。この序盤の誘導は、感覚的にも仕様的にも気合が入った、このゲームの位置を決定付ける一幕と言えるのではないでしょうか。
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なーんて、冷静に書いてますが、素直にめっちゃ怖かったです。魚影もこわいし声も無駄に大きいし…。マリオ64のウツボとか、バンジョーとカズーイの冒険のサメとか、私の「海の怖い敵」ベスト3にランクインです。
また、クラフト系のゲームは後半になるにつれてプレイヤーが強くなってしまうのでどうしてもダレがちですが、水と食料のドキドキリソース管理がうまいこと最後まで働いてたなーと思います。火山を通ってママさんのお部屋でごはんをいっぱい食べました。キラキラ抗体持ちも食べちゃった。
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クリエイティブモード+デバコマでDepth表示のみしてみたらこんなかんじ。フィールド外からだとわかりやすく箱庭ですね。
ゴーストリヴァイアサンをがうろうろしていたので、ここには何もないよって意思表示だと思いますが、それもプレイングと嚙み合ってて良い…
おわりに
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振り返ると、ミサイル迎撃やウイルス感染であったりと、インパクトの強い出来事も多かったですが、その後ろには、主人公を取り巻く環境、星の歴史の繋がり、海洋生物の生態など、作り込まれた世界観がゲーム内の史料等から見え隠れしています。よくあるサバイバル+クラフトジャンルとまとめてしまうには惜しい、彩り豊かなゲームではないでしょうか。
ここ数年、人にとっても様々な受け取り難いことがありましたが、過ぎ去った後、あのとき一歩でも進んでいたと思えたらいい。主人公を見習って今を精一杯生きていきたいです。
ありがとうサブノーティカ!
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