飛田へ向かう道すがら 第1話
・動物園前一番街
大阪メトロ「動物園前」で下車。
御堂筋線2番出口から地上に出ると、目の前にレトロな喫茶店。見上げると動物をあしらった看板があり、そこが飛田本通商店街・通称「動物園前一番街」です。
商店街入り口の自販機で80円の水を調達。向かいのファミマでチョコレート菓子を買いました。
緊張で渇いた喉を潤し歩き始めると、昭和を感じる雰囲気に懐かしさを感じます。
時間帯によるのかもしれませんが、一番街はシャッターが閉まっているお店が多いようです。
「西成はガラが悪いのでは…」という先入観がありましたが、結論から言えば、この商店街で身の危険を感じたことはありません。
ただ、すれ違う方々や所々で微かに鼻をつく臭いに、最初は緊張が高まりました。
ワンカップ片手に一人で誰かと語らうおじいちゃん、ラクダ姿で地面に横になっているおっちゃん、前からも後ろからも結構なスピードで走り抜ける自転車。
アーケードの天井はアート建築のようで、垂れ幕、年季の入った自動販売機、床のタイルに現れる動物たち。
BGMで流れる演歌が哀愁を誘います。
新しいお店とともに、市井の暮らしに張り付いた商店、昔ながらの飲み屋や純喫茶が存在感を放っています。
今はまだ暖簾をくぐる勇気がありませんが、いつか体験してみたいお店ばかりです。
陽の光が明るく差し込む、今は公園になっている旧南海電車線路跡が見えてくると、一番街が終わります。
昼間から賑わう大衆居酒屋から、楽しそうなカラオケの歌声が聞こえてきました。
もう何年も、職場と家を往復するだけの生活をしていたので、「人生は楽しむもんやで」と気付かせてくれているようでした。
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