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23/11/12奥能登国際芸術祭2023

今日を持って51日間続いた奥能登国際芸術祭2023が閉幕した。おおよそ5万人を超える人が人口1.3万人弱の珠洲市を訪れた。

誰のための芸術祭?

会期の初めの方に、地域の方とお話ししていた問いかけ。

2017年。
はじめは、地域を盛り上げるためだった。
だから地元の人たちもたくさん協力して、みんなでなんとか作り上げた。おおよそ7万人が来たとされる。
2回目はコロナ禍で1年見送っての2021年。
コロナ禍明けにもかかわらず、たくさんの人が来た。マスク生活が続く中、約5万人が来たとされる。
珠洲市の魅力アップに繋がったそう。
そして3回目の今回。
今回はどうだったのだろうか。

今年5月に最大震度6強の地震が珠洲市を襲った。
まちのいたるところが被害を受け、死者も出た。
いまだにまちはブルーシートがかかった家があり、道もガタガタ、デコボコしている。
工事や被災者対応が続いていた。

そんな中、会期を2週間遅らせての開催。

芸術祭はまちをあげての総力戦だ。
地域の人や外部から来るサポーターの協力無しには絶対に成り立たない。
市役所の職員は何十人も毎日芸術作品の受付やらメンテナンスなどのシフトに入る。

そんな忙しく、慌ただしい芸術祭が終わった。

こんな字面だけを見るととても大変で、市民も負担が多くて、被災した年にやるものではないだろう、という声も出るだろう。

一方で、これがあるから、地域の人や外部から来た人が交流し、みんなで最後まで芸術祭を作り続け、やり遂げるお祭りのようなムードがある。まちの宿や飲食店、作品制作に関わる工務店や建設業者など、恩恵を受ける企業もあるだろう。

CASA BRUTASの表紙になり、巻頭特集が組まれたり、日曜美術館で森山未來さんが紹介してくれたり、各種メディアで話題を呼んでいる。

珠洲市を訪れ観光する良い機会にもなるし、芸術祭をやっているまちなんだ、という印象にもなる。

芸術祭が無かったら、市内の他の地区に行くことなんて無かったわ〜。
また3年後、あったら、手伝いにくるわ。
珠洲産のお野菜よ〜持って帰って食べて〜。

誰のための芸術祭なのか?

その問いの答えは一つではなく、何が正解かわからない。人の数だけ答えはあるし、人が感じた分だけ答えはあるのだろう。

少なくとも、僕は芸術祭がきっかけで、このまちを訪れた。珠洲市に移住するきっかけとなった。
地域の人とたくさんお話ししたし、改めて地域を知る機会になった。
鑑賞した多くのお客様とお話もした。NHKのインタビューに応えたりもした。作品の受付やメンテナンスを通して同じ職場(市役所)の職員とも交流するきっかけになった。
そして、改めて、このまちについて考える機会にもなった。
作品を楽しんだのはもちろんのこと。

多くの経験をしたのだなと振り返って思う。

誰のための芸術祭なのか。

今度は別のまちの芸術祭を観に行ってみよう、そう思う。

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