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ミラノデザインウィーク3(なぜミラノに集うのか?)
ミラノデザインウィークがなぜこれほどまでに人を集めるのか?
夜の街を少し歩くと、時差ボケで早く寝たいなどと言っていちゃ
いけないということがわかりました。
夜になると、繁華街にあるバーというバーは人で溢れていました。
世界中から集まり日中、歩き回っていたデザイナー、クリエイターたちは、夜になるとバーに集まりだします。
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毎年顔を合わせるメンバーから新たな人を紹介され輪が広がっていきます。一見すると普通の人ですが経歴を聞くと、
驚くような仕事に関わっている人たちが居ます。
ミラノまでわざわざ足を運び、情報を集め人と繋がる人たちの
持っている情報や考え方はとても刺激的で展示物と同じように、
次の発想が生まれるきっかけになります。
そして、また新たなクリエイターのチームが生まれ、
次のデザインがミラノから生まれていく。
その躍動感、熱量、ずいぶん前に味わったような気がしました。
ミラノ在住の私と同世代のメディア関係者の女性から
期間中に電話を貰いました。
「高野倉さん、デザインウィークの夜って、なんか昔、
私たちが若かった頃の東京に似ていない?
未来に対しての熱量とか、みるみるうちに人が繋がっていく感じとか。
なんか希望に溢れているわよね」
忘れていました。この感覚。
SNSを見れば、ネガティブコメントや、誹謗中傷、未来に向けて
明るい気持ちになりにくい毎日です。
未来は夢と希望に溢れているからこそ、今日も前向きに歩めるのだと
思います。
人が繋がり、夢を語り、一緒に動き始める。
誰かに寄りかかって生きるのではなく、自分たちで
未来を創ろうという若者たちのエネルギーに刺激を受けました。
そしてなによりも大切なことは、目の前にある事、
目の前で起きる事を、
心の底から楽しもうとするハートではないかと思います。
日本に帰る前日の日曜日。
私は某2輪メーカーのNさんのご友人が住む、ミラノの郊外。
あのモンツアサーキットの近くブリヴィオという街に行きました。
公園の駐車場に止めた瞬間、目の前に新緑と、ゆっくり流れる川。
そして日曜日をのんびりと過ごす人たちを目にしました。
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いかにもイタリアの郊外という歴史ある建物。
一階のカジュアルなレストランの横のドアから
Yさんが現れました。
15年くらいかけて内装をDIYしていったYさんの家は
とっても温かくかわいらしく、心が自然とゆるまっていくような
感じになりました。
そして古い工具も見せて貰いました。
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「ガレージ見ますか?」
Yさんの提案にもちろん私はYES。
家からちょっと歩いたところに地下に潜る入り口があり、
そこにYさんのガレージがありました。
扉のつけられたガレージには、もちろん工具、工具箱
作業台。バイク、そして自転車のフレーム・・・・。
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趣味空間として稼働中のガレージでした。
そして二つ目のガレージの扉を開けると
Yさんのコレクションだという1930年代のイギリス、
イタリアの自転車がありました。
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Yさんはガレージから引っ張り出すと自転車のひとつひとつの
ディテールを説明してくれました。
「ちょっとサイクリングします?」
つまり、そこにあるアンティーク自転車は
全て動態保存されていて今も現役なのです。
つづく