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16weeks 5days(20250201)
彼女と同じタイミングで目が覚めて、もう一度目を閉じた。
次に目を開けたときは彼女を見送るときだった。
この日は妊婦検診で彼女は朝から病院。普段なら私も一緒に病院に行くのだけれど、今日は愛犬パルのトリミングとバッティングしてしまい、一緒には行けなかった。もう少しで17週を迎え、俗にいう安定期に入るころ。前回の健診からひと月ほど間が空いているので、おなかの中の赤ちゃんが生きているのか心配なひと月でもあった。
トリミングの送り迎えの道中ではラジオをお供にしていた。
その時聞いていた「おぎやはぎのメガネびいき」ではたびたび子育てや結婚観の話になる。ここ数週はこどもが家にいること、こどもと一緒に過ごしていることがいまだに信じられないという話をすることがある。人生の先輩であり、教養のある大人の代表である小木さんと矢作さんがそうおっしゃることに安心感を覚える。おぎやはぎのお二人がそういう風に思うなら、私がそういう風に思うことは変なことではないんだな。私だけじゃないんだ、だれもが一度は考えて折り合いをつける当たり前のことなんだ。そういう風に感じさせてくれる。月並みで嫌な気持ちになることもあるけれど、安心感をくれる。
私は一人の時間が好きで大事にしている。一方で誰かといることも好きで大事にしている。ラジオは一人でもあり、一人ではない時間をくれる。曖昧さを許容しない社会で、ひとりとみんなのグラデーションを作り、逃げ場をくれるときがある。
パルを抱いて家を出たときに彼女からの連絡があり、赤ちゃんは元気らしいと聞いて安心した。
トリミングが終わるまで3時間。終わるまで家に帰ることもあるけれど、お昼時ということもあり近くのファミレスで時間をつぶすことにした。普段ファミレスに行く習慣がないのでちょっとワクワクしていた。
軽くお昼を済ませた後、noteで紹介されていたのをきっかけに読み始めた『運動脳』を読み進めていた。運動は体にいいと知っていたけれど、脳にまでいい影響を与えるとは。早速影響されてジムに通い始めた。
読み進めているうちに彼女から赤ちゃんのエコー動画が送られてきた。文字通り心臓が心を司っているのではと思うくらい胸が熱くなって、マグマのような熱が勢いを持ったと思った瞬間、一気にせりあがってきて涙があふれ出た。動画では赤ちゃんがしっかりと人の形をしていて、手を顎に、ひざを肘につけるような形で丸まっていた。よくよく見てみると目の形や背骨も確認できて、道徳とか倫理の壁を越えて「命」をもった生き物なんだと強制的に理解させられた。
今まで頭の中でいろいろな「自覚」について悩んできたけれど、動画からは理屈を超えた訴えがあって、その力強さに動かされた。
あと半年を過ぎる頃。
相手が会うという概念を理解しているかはさておき、目を覚ました時に最初に会う人は彼女以外の誰かかもしれない。
その時に私は何を思うのだろうか。もっとも寝ぼけた頭には関係ないのかもしれないけれど。