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家族のパーキンソン病を早く発見するために出来る事
2024年10月、50代半ばの夫が指定難病・パーキンソン病である事がわかりました。病気との長い共生に向けての記録です。
パーキンソン病は、脳の特定の部位でドーパミンという神経伝達物質が不足することで起こる神経疾患です。主な症状は、手足の震え、動作の緩慢、筋肉の固さ、姿勢の不安定さなどです。これらの症状は、日常生活に支障をきたすほど深刻になる場合もあります。パーキンソン病の原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因や環境要因が関与していると考えられています。現在、パーキンソン病の根本的な治療法はありませんが、薬物療法やリハビリテーションなどによって症状を改善することができます。
日常の変化に気づき、不安が募る
振り返ればコロナ後頃から夫に異変がありました。最初はこの人近ごろ普通の事が出来なくなったなという感じで、鬱か男性の更年期かと思っていました。段々悪化する感じで、漠然と変だなと思ったのが最初のきっかけでした。
症状を箇条書きにして調べてみよう
当時、夫の変な所を箇条書きにしたものです。
・簡単な仕事なのに遅い
・外出や商談の後、ぐったりしている
・姿勢が悪い、猫背がひどくなった
・顔に覇気がない、ぼーっとしている
・動作や声が小さい
・服装に気を遣わない(元々)
・登山中に何回も転ぶ、遅れる
・暑い寒いですぐバテる
・新しい事をやりたがらない
・重い便秘、前は快便だったのに
・自身の不調を具体的に説明出来ない
・両手指先が小刻みに震えて止められない
この症状をネットで調べると、パーキンソン病の初期症状によく似ていました。その瞬間私たち夫婦の中で点が線になったような確信がありました。
義母が予習させてくれたんだ
義母は60歳でパーキンソン病を発症しました。最初は歩行が上手く出来なくなったのを近所の人が気にかけてくれて総合病院を受診しました。しかし、その病院には専門医が居なかったため、パーキンソン病と診断されるまで時間がかかったそうです。私が結婚前に会った頃は既に一分介助が必要な状態に進行していて、薬の副作用や日常生活で大変な事、面倒を見ている義父の苦労話も聞いていました。そして、稀に家族性のパーキンソン病もあるらしいのを何かで読んだ事がありました。
専門医への受診を決意する
幸い、義母もお世話になっている総合病院が市内にあるので、夫は最初からパーキンソン病かもしれないというアプローチで脳神経内科を受診出来ました。初回問診では手を回したり歩いたり、上記の症状を説明し、可能性はあるけど精密検査をしないと判らないと言われました。その場ですぐ入院の予約を入れました。約2週間後に検査入院し、パーキンソン病の初期段階である診断を受けました。
早期発見で普通の事ができる日常を伸ばす
一般的に知られているパーキンソン病は、手足が震えて自由に動けないお年寄りを想像するのではないでしょうか。そういうイラストも多いのですが、実際は40代から発症する例もあり、夫は55歳で発症しました。まだ普通に働く事は出来るし、車の運転も今のところ問題ありません。しかし、進行性の病気なのでこれから身体が不自由になります。家族として出来る事は、甲斐甲斐しく助ける事よりも一緒に運動したり、なるべく可動域を狭めないリハビリのサポートをする事だと思います。
薬に簡単に頼らない
症状を調整する薬はあるものの、根本の治療薬はありません。そして調整の薬は長期服用で幻覚やウェアリングオフ(薬が切れるとガクンと具合悪くなる)、ジスキネジア(手足、口が意志と関係なく動いてしまう)などの副作用があり、何種類かの薬を患者さんに合わせて調整していくのですが、義母もかなり苦労していました。私が見た中で一番酷かったのは幻覚です。初めて会った時から既に薬漬けで、無知だった私はこの家族は何かに騙されているんじゃないかと疑ったくらいです。ですので、もし早期に発見できた場合はなるべく薬に頼らない時間を伸ばす方が私達は良いと考えています。
同じ境遇の人の役に立てれば
差し出がましい考えですが、私達の経験が少しでも同じ病気で不安になる人や家族の役に立てればと思っています。私達は身近な家族がたまたま罹っていたからこそ覚悟が出来ています。何も知らないでこの病気の診断を受けたらきっと驚くと思います。命に直接かかかわる病気ではなく、闘病と言うより長い共生をしていく病気です。これから自治体の特定疾患の手続きや様々なサポートの活用も紹介できればと思っています。「難病」という言葉の表面的な部分に不安を感じたり、病気だという事を心に擦り付けるのではなく、今できる事を前向きに、地道にしていこうと思っています。