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経営をお金の流れで考える

僕がまだサラリーマンをしていた頃,父は病床でいつもこう言っていました。
「うちの会社を継ぐんだったらまずは経理からやれ。
経理をやれば,店に立っても仕入れをしてもすべてよくわかるようになる」

この言葉の半年後に父は亡くなり,僕が社長になり継ぐこととなりました。
そして,僕は父のこの遺言を実行しました。
まずは経理から入ってお金の流れを把握することにしたのです。

お金はどこから入って,どこに支払われていくのか?
経理にいれば,わかるようになります。
毎月どこにいくら払っているのか?
どこの店は売上が多くどこが少ないのか,これもすぐに把握できることとなりました。

父の遺言では,経理は長くやるな!ということでした。
長くやるとどうしても管理型の社長になってよいことはないというのが自論でした。

僕も,2年だけ経理をみっちりやりました。
伝票の作成から給料計算,小切手の準備や各店の金銭報告書まで会社のお金に関することは,
一通り経験をするようにしました。
それから,店舗に出たり仕入れをしたり新規店舗開発をしたりしましたが,
最初に経理を経験したことはその後の円滑な仕事運びにとても役に立った記憶があります。

後継者は,営業だけとか生産だけというように,会社の業務の一部しか経験していないことが多々あります。
もちろんそのあとにいろいろな業務を体験するジョブローテーションを経験していくのでしょうが,
様々な業務に携わる前に一度「経理の門」をくぐっておくことをお勧めします。

経営は,自社の中でお金がどうやって流れているかを知ることがとても大切です。
どこからいくらお金を頂戴してどこにいくら払っているのか。
多くの後継者とお会いしていて,意外とわかっているようでわかっていないのが,実はこの点なのです。
まずはお金の流れで経営を理解することができるようにしてほしいと思います。

2009年4月1日
社長の掟 -今日の教訓- 1261号
二条彪著

僕は約7年ほど前に入社した今の会社で、
会社の資金の流れを勉強するために、
2年目頃から経理財務の勉強しました。
当然、初めて見る用語や数字の書き方ばかりで苦労しました。

ほぼ小学生の時以来に電卓を触ったこと、
「1,000」を書くときに「,」をつけること、
雑費という便利なようで不便な勘定科目があること。

ちょっと知識がついたら、友人と飲み会へいった時に
「じゃあ接待交際費でご馳走様です!!ガハハ」
みたいな知識をひけらかすジョークを言ったりしていました。

経理財務の知識は身につけましたが、
ただ当時は「なんか知識が先行してしまっているな」という感覚がありました。

漢字ドリルで綺麗なお手本を鉛筆でなぞれば
それっぽく書いた風になるように。
学んでいる風で、学べていなかったのかもしれません。

僕が一番勉強になったのが、2年間続けたキッチンカーでのリアルな経理財務の業務です。

会社の立ち上げで必要な資金や経費はもちろん、
日々の仕入れや売上管理、月末締の経理作業と決算報告。
全部1人で管理していたので、まあ大変でした。

ただ、経理財務の勉強をしていたおかげで、
「ほ〜ん、これはこういうことだったのか!」
と自分自身の経験を増やしたことで、
理解度が格段に上がったように思います。

人それぞれの知識を身につける方法があると思いますが、
僕は何かあるものをなぞるだけではなく、
まっさらな状態から自分で行動することで何か掴めるタイプのようです。

世の中にはいろんなやり方があるのだから、
経理の門をくぐって知識をつけた風にならないよう、
自分で道を作って、しっかりと経験を積み重ねていくんだぞ、
と7年前の自分にそっと言ってあげたいです。

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