あらためて「病歴聴取」について考える
■あらためて「病歴聴取」について考えてみた。
僕もたまにインタビューというものを受けることがあるのですが、インタビューの結果、出来上がった取材記事の帰属はそれを書いた質問者にあるのかというと必ずしもそうとも言えません。もしもインタビューアーが僕の発言を深く受け止め、要約、言い換えなどを用いた循環的質問をしてくれたとしたら・・・、そこで生まれた新しい視座はまさに自身と質問者との共同著作といえるのではないでしょうか?
■病者と医療者が紡ぐストーリーも共同著作
対談での語りは大部分『関係性』の中から生まれているのだと思います。そう考えると、インタビューという仕事は本当に才能が求められる仕事だなぁとあらためて思います。医療の現場で病者と医療者が紡ぐ「病歴」と呼ばれるストーリーはもっとも重要な共同著作のひとつではないかと思います。
医療専門職にはそういう姿勢で病歴をとってもらいたいと思います。そのためには「病気」だけに焦点を当てるのではなく、「病気」と「人」を分離して、病者と対峙する姿勢が求められます。そうした関係性の中で紡がれた物語に、私たち医療専門職は『物語的真実』を見出すことができます。『科学的真実』と『物語的真実』とが出会うことによって、患者中心医療 Patient Centered Care は “Person Centered Care”(パーソン中心医療)に近づくことができるのではないでしょうか。僕にとっては とても困難な道ですが、1歩1歩近づきたいと思います。