誕生日ありがとう
ただいまー、と帰ってきた彼の手にTOPSのチョコレートケーキ。
え、なんで?今日何の日??
と聞いたがニヤニヤ。
私の大好きなTOPSのチョコレートケーキ。
もう一緒に食べる機会がないからかな。
夕食の準備をしてるとピンポーンとインターホンが鳴る。
誰、と思ったら荷物の配達だった。
受け取り人は彼。
またなんか頼んだだのかな?
ベリベリと包装をはがしながら相変わらず下手くそな鼻歌なんか歌ってる。
「午前0時を過ぎた~ら〜
イチバ~ンにとどけよ~お~」
え、まって、嘘でしょ。
なにそれ。
ほんとに?
待って私の誕生日、6月。
「前倒ししてもいいじゃん。こういうのはさ、お祝いしたい気持ちがね、大事だから。少し早いけどさ、お誕生日おめでとう」
いやいやいや、なんでよー。
これから別れる女にこんなお金使うなよー。
自分のために使いなよって。
だってこれめっちゃお高いやつやん。
どうしてよ。
……って頭の中ではすごくすごーく思ったけど、なんとか言葉には出さず飲み込んで、満面の笑みで、
「めちゃくちゃ嬉しい。ドライヤー買わなくちゃって思ってた。これずっと欲しかったやつで……ありがとう。大切に使う」
と、言えた。
いつだったか、午前0時を過ぎて一番に誕生日おめでとうのメッセージをくれた事があったことを思い出した。
あれは確か、会社の研修旅行で静岡に行った時だからもう6年前になるのか。
あの頃はまだ、こんなにたくさん一緒の時間を2人で過ごすことになるなんて思ってなかった。
ケーキも食べれたし、まぁいっか。
この日は寝る前に絵しりとり(イラストチェイナー)をして馬鹿みたいに笑いあって終了。
つらくても悲しくても、日常は続いていく。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?