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SUPER HAPPY FOREVER〜喪失と向き合う物語
スーパーハッピーフォーエバーっていう脳天気なタイトルがトラウマになるくらい、内容はえぐかった。
これは「喪失」と向き合う物語だ。
(※予告が物語の7割です)
いる、じゃなくて、いない、の存在感。
いなくなった、もういないっていうことが、ずっと続くんだなっていう。
喪失って、そういうことで。
無い、がずっと有る。
いつも何かを探している、いつも満たされない。
喪失に苦しむ人がなぜ苦しむのか、それは「満たされていた」時期があったからだ。
それがどれほど素晴らしかったか、愛おしかったか、本作はまざまざと見せつけてくれる。
「その人がもういない」という事、誰かの不在を抱えたまま、生き続けていくこの先の膨大な時間と、探し続ける赤い帽子というアイテム。
スーパーにハッピーな時間は、永遠には続かないから、でたらめに幸せなのだ。
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無くした帽子は元々拾った帽子で、拾ったけどまた無くして、また他の人に拾われ。
スーパーでハッピーな時間もそうやって、人から人へ、渡っているのかもしれない。
私が知らないだけで。
自分が死んだ後も、こんな風に世界って続くんだなって。
私がなくした帽子も、私が無くした永遠も、誰かに拾われてたらいいなって。
全体を通してわざとらしさやあざとさがなく、ちょうど良い余白があった。
ラストも、爽やかで軽やかでお洒落。
見終わったあと、いい映画だなぁーって思った。