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たくさんの思い出

もうどれだけ前になるだろうか。 僕がまだ二十代だった頃の話だ。 小学校以来の友人に誘われ、ライブイベントの為に渋谷に来ていた。 その友人は僕にエレクトロニカの良さを教えてくれたヤツで、 いま考えると、大恩人だ。 そのイベントの開場待ちをしている最中に、友人が声を掛けられた。 「おー、今日も来たの!?」 会場入りする演者さんだ。 友人はかねてよりの顔見知りらしく、親しげに会話している。 「コイツ、一緒に来た友達です。」 と、友人が紹介してくれた。 「おー、どんな音

    • 或る年末の話

      夜来の雨もあがり、強い日射は小春日和と言った様相だ。 屈んで草を抜き、葉を取り掃っていると、上衣を脱いだにも拘らず汗ばんで来る。 雲は遠くにしか見えず、先月は紅く色彩っていた周囲の林は、もう冬支度を済ませたようだ。 旧天皇誕生日、僕は月例の墓掃除に来ていた。 令和になってからは平日のようで、他の墓参客も疎らだ。 尤も、12月23日は世間的にはクリスマス前と言えるのかもしれないから、墓参、墓掃除をするという発想は希薄だろう。 僕にとって祖母は、もう一人の母だ。 実の母は、父と

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