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高齢社会を支える住宅政策とは?(日本経済新聞 柳瀬和央氏 Morning satellite Feb,2024)
単身の高齢者が賃貸住宅借りやすくなるよう、政府が検討している住宅政策の見直しについて解説する。
高齢者は、孤独死した場合の対応、家賃滞納などトラブルへの懸念から、賃貸住宅への入居拒まれるケースがある。
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現在の制度では、住宅への配慮が必要な高齢者が入居できる物件を、自治体に登録すると言う仕組みはあるが、今後単身高齢者の増加が見込まれるのに対し、数や質が十分とは言えない。
そこで、高齢者が入居しやすい賃貸住宅を増やすために、孤独死や家賃滞納への対策を政府は議論している。
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▪️家賃賃貸への対策
借り手が家賃を滞納した場合、これを建て替える保証業者を認定する制度を作る。家賃保証の会社は、全国に250社程あるが、身寄りがなく、親族を緊急連絡先にできない高齢者の保証を断る業者も多発している。
このため、単身高齢者の保証を引き受ける業者を国が認定し、その業者は住宅金融支援機構が提供する業者向け保険の補填率高くする優遇措置を対象とし、これにより高齢者に対応する保証業者を増やすという対策である。
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また、孤独死への対策も盛り込んでおり、住宅確保に配慮が必要な人の相談やサポートを行う居住支援法人は、全国に約700ある。
そこが入居者から委託を受けた場合、死亡後の不用品を処分できるようにし、生前は、定期的に訪問、または人感センサーなどの技術を活用し、安否を確認できる住宅を認定し、回収費等補助する仕組みを作り、安心して高齢者に貸し出せることを検討している。(居住サポート住宅)
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現在、日本の社会保障制度には、年金や医療、介護など大きく6つのメニューがある。一方、欧州の主要国では、ここに住宅が加わり、7つあるのが普通である。
日本の住宅確保の公的支援は、生活保護の一部である住宅扶助、離職など困った人向けの住居確保給付金の2つに留まっている。
これらの対象者は、一部の困窮者に限定されており、広く一般の人が使える制度ではない。一方、欧州の多くの国では、快適な住宅手当というものがあったり、所得、世帯の要件を満たせば、全て使用可能である。
また、公営住宅に関しても日本は見劣りしている。欧州に比べ、供給量が限られており、低所得者が希望しても入居できないってことも多くある。
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また、別の問題もある。
未婚と離婚合わせた単身世帯の割合は、2035年に4割弱まで上昇すると推計されている。また、30〜50代で持ち家に住んでいる人の割合は、この25年間低下が続いており、10年後には、不安定な雇用余儀なくされてきた就職氷河期世代が60歳を超えるため、住まいの確保は社会問題になりかねない。
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また、シングルマザーなどの1人親世帯が、1993年では94万世帯から、2021年には134万世帯まで上昇し、住まい確保の目配りが必要である。
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そういった状況踏まえ、政府の全世代型社会保障構築会議で、普遍的な家賃補助や住宅手当の仕組みに発展させることが必要だといった意見が出ており、全国で800万を超える空き家を回収して、高齢者の見守り機能がある公営住宅に転用するといった政策も検討している。
コストについては、住宅確保、社会保障と言う観点から見ると、年金が少なくても生活保護を受けずに生活出来る可能性、また高齢者を見守る機能が整うことで、介護保険の利用が減ると言う効果が生まれる可能性もある。
今後の高齢社会の姿を見据え、人々の住まいを確保するのに、何が適切な政策なのか、住宅対策のあり方を点検する時期に入っている。