米株式と長期金利の関係性について変化の兆し(オールニッポンAM 森田長太郎氏/Morning satellite Feb,2024)
アメリカの株価と長期金利の順相関が続くかについて、解説する。
最初に、株価と金利の動きを見ていくと、過去のトレンドは、景気の上昇による株価と金利の上昇で順相関となるが、2022年以降は金利が上昇すると株価は下落すると逆相関の動きとなり、1990年代で生じた珍しい状況となる。
では、なぜ逆相関になっているのか?
2022年頃からコロナの初期段階の景気回復が終わり、景気のサイクルとしては減速方向に入っていた。しかし、インフレの高騰により、 FRBが景気減速を無視して、インフレのみをターゲットし、利上げを行ったことにより、長期金利が上昇、株価は下落と、逆相関の動きになったと考えられる。
ただ、2024年より順相関の動きに変わってきた。
金融政策は、インフレ抑制を目標にしているものの、インフレがピークを迎えていることから、FRBも徐々に景気とインフレのバランスを取っていくと考えられる。そうなると、景気が拡大してるときには金利上昇、企業収益拡大による株価上昇。景気後退となると、金利低下、企業収益低下による株価は下落と、今後は順相関に変わっていくと考えられる。
では、今後のアメリカの景気サイクルはどうなっていくと考えられるか。
2023年まで、大幅な利上げを行ったにもかかわらず、アメリカの景気サイクルは拡大局面に入っていると見える材料が今増えてきている。
⑴ 実質賃金の上昇
インフレがピークアウトし、賃金は高めの水準であるため、上昇している。これが最近の消費データを良くしている1つの要因と考えられる。
⑵ 銀行の貸し出し態度の改善
実質賃金上昇かつ財政の緩和、企業収益の堅調により、銀行は企業への貸し出しを積極化する好循環となりつつある。今後この動きが本格化すれば、長期金利の上昇は、景気の拡大と整合的であると言え、株価上昇と併存しやすくなってくる。2023年まで頻繁に生じた長期金利上昇による株価急落が生じにくくなることを示唆できるだろう。