何気ない通勤の朝に

たとえば 夜に
誰もいない車両に乗って
見知らぬ土地のトンネルをくぐるとき

たとえば よく通るけれど
誰も見向きもしない
ひっそりとした神社への奥まった参道を進むとき

たとえば 思い立って
誰一人として知る人のいない
異国の土地へ飛び立つとき


もしかしたら

トンネルを抜けたら
鳥居をくぐったら
飛行機を降り立ったら


その世界は
今までとはちがう

新しい世界

パラレルワールドかもしれない

自分以外のモノは置き去りにして
身一つでやってきたのかもしれない

もしかしたら
身が欠けることだって
あるの かもしれない

受け入れ難い 現実と
せまりくる 孤独の中に

私はなすすべなく
佇むことになるだろう

そして


一呼吸

おいて

ぽわん と


自分という存在の

確かさに

安堵するのかもしれない


ああ
どこまで 行っても

たとえ 世界が変わっても
たとえ この身が欠けようとも


ついてくるのか。
自分であり つづけるのか
共に行こう
なんと愛しい呪縛

どこまでも 共に 行かん
孤独だけれど

頼もしい


自分という存在の
確かさ


そんなことを
思い
励まされる


何気ない通勤の朝に


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