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心理学とか宗教とかスピリチュアルとか

臨床心理士の東畑開人さんの『野の医者は笑う』(文庫)を読んだ。

私はコーチングと、キャリアコンサルタント資格の際にカウンセリングを学び、趣味でタロットをやっていた。ビジネス系セミナーや自己啓発本で、うすらぼんやり、アレってここから来てるんじゃ無い?ソレとコレのいいとこ取りっぽいな、と言うのを感じていた。
加えてコーチングは、未来志向かつポジティブな人達に特化されているプログラムなので、病んでる時と復活までに至らない今でも、結構しんどい…。なのでそれらの活動をしている知人が多いSNSではフォローを外したり、FBは見ないようにしている。
投稿者本人はビジネスを頑張っているのだと思うが、キラキラ系・全肯定系もキツイ。一方のスピ系も、信じたいけど、なんか信じられない、という波や葛藤があった。

こんな私にとって、上記の学びや体験の点が線となり、ある一つの面になった本である。そうなんや!全部繋がってるんや!ってことだった。

東畑さんは臨床心理士で「医者」であるが、沖縄のスピ系を中心とした「野の医者」の癒しを体験して、インタビューし、論文化のための言語化や数値化をしている最中の心の動きを丁寧に書いているのが、この本である。
意外にも「野の医者」はきちんとビジネスであり、宗教であったりして、現在のSNS系インフルエンスビジネスとなんら変わりが無い様にも感じた。つまり違いがある訳でなく、様々なブリコラージュなのである。

ブリコラージュ【(フランス)bricolage】
あり合わせの道具や材料で物を作ること。日曜大工。器用仕事。転じて、持ち合わせているもので、現状を切り抜けること。

デジタル大辞泉

傷ついた人が癒されたのち、ヒーラーやライトワーカーとなって、他者を癒す。体験的にモヤっと感じていたことが、各ジャンルの個別のケースではなく、歴史的にもよくある事なんだということがわかった。
分かったから何?とは思うが、私が興味やその時の切実さで学んできたことが、別々のものではないということと、ブリコラージュでええんや!=自分の癒しも時代や年代・役割とともに変わっていくのだから、ということでもある。

古典も科学も揺らぎながら、新しく科学的かつ合理的なものへ変わっていくのだし、私も年齢や役割、時代とともに考えが変わっていってもおかしくない。その時にいいものを摂取して、改めて古典も見直すのだろうし、新しいものに入れ込んでも、なんだか怪しんだり嫌いになったり、また総合して再発見したりしてもいいのだ。

スピビジネスは、意外にコーチング系と一緒(ヒーラー→講師→果ては教祖・宗教化される)なのも、驚きポイントだった。もちろん、それぞれ生活があるので妥当だとは思うが、道が逸れたり、スピを利用してグッズで金儲けに勤しむ人がいたりするのは、どのような業界であっても同じだ。免罪符や絵馬などのように、歴史的にも脈々と繰り返され、いいとこどり(ブリコラージュ?)しているのだ。

思うままに書いたが、とてもいい読書体験をしたので、ひとまず読書感想を公開したかった。
あなたが何かの流派(仕事でも、コーチングでも、スピでもなんでも)に入れ込むのもいいが、時が経ち何かひっかかったり、ゆらいでることが増えてきたりしたら、この本を読むことをお勧めする。

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