【読書感想】 『デザインの言語化』 - "手段の手段" としての日本語の重み
デザインは課題解決の手段である、とはデザイナー一年生が最初に習うフレーズのひとつである。
その課題解決の手段をよりよくするための "手段" として、言語(ここでは日本語)が存在している。日本語をいかに捉え、伝え、相手との視座を合わせるかの工夫について本書では述べられており、「日本語を大切にする人と働きたい」と考えているわたしとしてはドンピシャに役立つ書籍だった。
本記事はその要約である。
いいデザインとは何か
結論から言うと、「いいデザイン=相手が受け取れるデザイン」である、と著者は述べている。
相手が受け取れるとはどういうことか?
それは、共通語を同じ粒度で共有し、同じイメージをお互いの中に浮かびあげられることである、と要約できる。つまり「いかにイメージを伝えるか?」「お互いの中でイメージの齟齬がなくデザインへ辿り着けるか?」ということ。ここが曖昧になると修正地獄へまっしぐら、クライアントもデザイナーも良い思いをしない結果になってしまうためだ。
そのツールとして有効なのが、ビジュアルの前に言語。
「ビジュアルを言語化する能力」を高めると、デザイナーとクライアントの間で認識齟齬が起きづらくなる。
言語化能力を高めるために "発想段階からデザインを言語化して考える"、つまりデザイン画をいきなり描き始めないことが大切(本書p. 89)。
クライアントには、デザインについてのテクニカルなコメントではなく、商品への熱い想いを共有してもらうほうがよい(本書 p. 141)。
デザインの言語化を行ううえでの心構えとして、著者は上記のように述べる。たとえクライアントからざくっとした言葉で依頼されても、「それってこういう意味でしょうか?」と言葉を噛み砕いて問い合わせるほうが、お互いの立場にとって有用なのである。
コンセプトの定義と作りかた
うっかり勘違いしそうになるが、デザインのテーマとデザインのコンセプトはまったくの別物である(本書 p.43)。
ついでに言うとデザインコンセプトとカラーコンセプトも分けるべきだ。
上記のような差異があるため、コンセプトはデザインを組み立てる上でもっとも重要なパーツのひとつとなってくる。デザインを組み立てるレイヤー構造についても著者は以下のように図解する。
ラーメンにたとえると「味の土台となるスープ」。
この部分にしっかり時間をかけ、最適な言葉を交わし、クライアントと認識を注意深く合わせる必要があるのだ。
まとめ:デザイナーがこだわるべきこと
デザイナーがこだわるべきことは、ユーザーの声を正しく伝えること(本書 p. 96)。アートの領域である "自己表現" とは区別し、ユーザーが心に思っていてもうまく表せないことを、正しく表出させてあげることなのである。
お互いの中に共通のイメージをもうけること。
共通のイメージを持つために、言語を噛み砕くこと。
そのためにデザイナーはあらゆる引き出しを持っておくべきなのだ。
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