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アゲハの幼虫🐛

道路を歩いていると、緑色の芋虫が、
ゆっくり横切っていく。
こんなところにいたら、車に轢かれちゃうよ〜。
あたりを見て棒切れを探す。
見つけた時はそれでヒョイと持ち上げて
横の草むらにポイっと投げる。

その日は棒切れがなかった。
どうしよう⁉︎
このままじゃ車に潰される。
毛、生えてないな。よし!
指でつまんでみました。
ぷにゅとしていてなめらかな感触で、
うえぇと放り投げたくなる。
3秒の我慢で慣れました。
それ以来、助ける時は素手である。

さて、当時の実家には「山椒」の小さな鉢があった。
卵豆腐の上にパンパンと叩いてのせる、
緑の葉っぱである。
春先、新芽が増えた頃になるとアゲハ蝶が、ヒラヒラ飛んでくる。
そして卵を産む。
卵から出てきた幼虫は、鳥のフンそっくりである。
黒くてちょっと白いところもあって、
フンのフリで身を守るすごい。
やがて山椒の葉っぱをもりもり食べて、
鮮やかでなめらかな黄緑色の芋虫になる。

緑になった芋虫は、驚かせると頭から
オレンジ色のツノを出す。
「匂いかんでみな」と虫好きの弟に
言われ、嗅いでみるとちゃんと柑橘系の
匂いがする。それもすごい。

我が家の小さな山椒の鉢は、あっという間に食い尽くされた。
鉢の縁を芋虫がクルクルと回っている。
あーあ、餌無くなっちゃったね。
まだ小さいな。仕方ない‼︎
わたしは近所のおじいちゃんの庭に、
大きな山椒の木があるのを知っていた。
ウチの芋虫をポケットに入れて、
そのおじいちゃんの家の山椒の木にのせ、
「立派な蝶々になりなさい」と帰ってきました。

ほっとして家に戻り、食い尽くされたと思った鉢の山椒をよく見たら、枝分かれしたところの葉が少しだけ残っている。
なんで、ここだけ残したのだろう?
まさか!

いました。小さなトリのフンもどきが。
このちびすけさんの分を残して、
困ってぐるぐるしていたのかもしれない…。
という気がして一人、感動してしまいました。そんな事、他の人に言っても
相手にしてもらえないよね。

しばらくして、ベランダで洗濯物を干していた時のこと。
少し小ぶりの元気なアゲハ蝶が、わたしの周りをひらひら飛んで、何度も何度もそばにくる。
その時も騒ぎはしなかったが、心の中で
「あの時の芋虫が来た!」とこっそり喜びました。

それ以来、さらに物言わぬ植物動物何でもかんでも知り合いになれるんだと感じています。

*何を言ってもダメそうなのは別です


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