告知【爆笑】
院内での研修の際に、胸部レントゲンで結核にかかったことがない証明と、血液検査で今結核に罹っていない証明をしなければいけない。
授業の合間に放射線クリニックでレントゲンを撮る。
たかがレントゲンなのに、やけにその後が時間かかる。空いてるのに…
そして、呼び出された。
「CTを撮ってください。」と受付に促される。
いやいやいやいや〜。
『今授業の合間なの…
ここ、放射線科の専門クリニックでしょ?
え、何?ぼったくり?
とにかく無理だから…』
とか思いながら、とにかく断る。
「授業に戻らないとなので、CTは撮りません。」
とにかく、医者に会って説明を聞くように言われた。
医師の第一声「リンパ腫の疑いがあります。」
爆笑してしまった。
そして、笑いが止まらない。
「あ、すみません。笑う場面じゃないんですが」と必死に笑いを堪えようとして…まだ笑いが完全に治らない。
「健康だって証明するために来たんですよ。」と続ける私。
ちょうどこの頃、学校も順風満帆。治療が軌道に乗り、持病もコントロールがついていた。過去最高に幸せな時期だった。
まさに絶頂期。
中高生の楽しい盛りに難病になって以来、結構我慢もしてきた。治療と学校の両立をする中で、フリーの友達と楽しむ時間は返上してまで…学年でトップクラスの成績…… 学生のうちに卒後に進む専門の臨床研究を開始していた。
体調の回復と安定のおかげで、授業の合間や休日に友人と楽しめる時間が増えてきた…ちょうど、一番楽しい時期。
あー。この時期に…!
もう、笑うしかないですよね。
普通なら、きっと泣くんでしょうね。
でも、当事者ではなく、別の目線で見る自分がいる。
3流の昼ドラとしても、下手すぎる…… もはや笑うしかないような展開。
医師は、「自分のクリニックではなくてもいいから、とにかく近日中に絶対にCTを取ってもらうように」と同僚としての立場と会話内容で、レントゲンの読影を私に伝えながら検査を促した。
……
この直後に高校の頃の友達に連絡して、少し話したあと、その日の残りの授業はサボった。大好きな授業だったが、学校へは戻らず……
生まれて初めて授業をサボった。
そして、病院での大好きな環境で臨床研究の仕事に没頭した、静かで清潔な真新しい建物の特等席のパソコンにログインして。
その晩は、友人の誕生日パーティー。
ちょっと値段が張るレストランで、皆んなでシャンパンを開けた。
普段は一滴も飲まない私だが、軽快にグラスにシャンパンをもらって飲み干した。
あれ?という雰囲気の友人に対して……
ニコニコ笑って、楽しい話をしてながら、「こういう日に飲まずに、いつ飲むのよ?」と愉快そうに笑った。
実際に、「今のこの瞬間は最高に楽しい」
それを最大限楽しんだ。
その晩は、ただの一人にも検査のことを打ち明けなかった。
めでたい席での会話ではない。
話すのなら、明日でも問題ない。
リンパ腫だとしても、明日、明後日で急変はしないだろう。
「今楽しい」
自分のためにもこの瞬間を壊したくなかったのかもしれない。
レントゲンは確定診断などではないにせよ……
今年度ももう直ぐ終わり。
仲間でグループを作り、翌年は過去最高に充実した医学部生活で勉強も以前にも増して楽しく、最高のメンバーで取り組みながら…… 友情を深める…… そんな最高の一年になる予定だったのに……
しかし、私の人生だからこそ、このタイミング以外考えられないのだ。
いつも、病気だけが邪魔をする。
ハハハ、難病がコントロールついてる時には、また別の手で来るのかよ……
まぁ、笑うしかないよね。
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