XYと手越くん

※M-1の総評は年明けにゆっくり書きます

X JAPANのYOSHIKI氏がプロデュースする「XY」に突如舞い込んできた手越祐也氏の加入。

正直、めちゃめちゃ複雑だった。

ちょうど0年0組(以下「00」)を追っていて、少し触れられていたので名前は聞いたことがあった。
そこに手越くんが加入すると聞いて驚いた。
失礼ながらデビュー後あまり話題に上ってこなかったので、何をしているのかよくわからなかった。
だから話題作りテコ入れ感が否めなかった。

それと同時に「手越と愉快な仲間たち」状態にならないか心配だった。
13人が「その他大勢」として手越くんより小さく映っている見出しの画像が、その子達のこれまでの頑張りを踏みにじっているような、そんな感じがした。

有薗(KANJI)くんが00に落ちたとき、話すこともままならないほど嗚咽混じりに号泣しながら、鹿児島訛りで上京してからの苦悩、落ちた悔しさ、芸能界への諦めを口にしていたこと。
アヴちゃんが最後に「また歌いたくなったら戻っておいで」と言ったことがきっかけでXYの追加メンバーオーディションを受けたこと。
合格後、00のカメラに向かって驚きながらも満面の笑みを浮かべていたこと。

彼の諦めていた夢に差した一筋の光を消すようなことにならないだろうか。

他のメンバーにも言えることだ。
バトンの世界大会で優勝した子、きゃりーぱみゅぱみゅのバックダンサーをしていた子、元ホストで1000万稼いでいた子…経歴を聞くとびっくりするほどハイレベルな子たちばかりである。
初期メンバーの子たちは米国で一緒に歌った子を事故で亡くしているという複雑なバックグラウンドもある。
亡くなった子はYOSHIくんというが、彼はスーパースターだったと思う。
どんな立場の人も僕はみんなに才能があると思っているし、みんなが同じレベルで天才だと思っている」…19歳の子にこんなことを言わせることができる親御さんの顔を拝見したい。いい意味で。

YOSHIくん含め、どの子もハイレベルなスキルの持ち主である。みんな、YOSHIKIさんからこの子たちは世界的スターになれる原石だと太鼓判を押された子たちである。
その子たちを「手越と愉快な仲間たち」にするのは勿体無い宝の持ち腐れにしかならないのではないか。

そして、何より私は旧ジャニーズとそのファンにものすごく苦手意識がある。

ライブが延期になった程度で大災害の被災者ヅラして図々しい要求をしていた人たち。
性加害問題を最初に告発したカウアン氏を「嘘つき」呼ばわりし、セカンドレ●プとも言える発言を繰り返す人たち。

そういう常識はずれな発言ばかりしているファンを見て、旧ジャニーズには嫌悪感すら覚えていた。


でも、今回のXYのドキュメンタリーを見るうちにそれもだんだん薄れてきた。

まず、当事者のメンバーが率先して手越くんを受け入れていること。
それが一番視聴者に安心感を覚えさせたのではないか。

言わせられていたのでは?と最初思ってしまったが、まだ敬語とはいえ、同じメンバーとして「くん付け」で呼ぶメンバーや、レッスンやインタビューを通して打ち解けて話している姿も見えた。
その一方で手越くんの経験を話している姿を真剣な眼差しで聞いている姿から「手越先輩」へのリスペクトを感じた。

手越くんも13人に分け隔てなく接していたし、同じアーティスト・XYを作るメンバーとして、他のメンバーをリスペクトするような場面も見られた。

そして何より手越くんの親しみやすい雰囲気や底抜けな明るさがメンバーを引き寄せているようにも見えた。
まさに、天性の人たらしである。

また、この番組で、手越くんの歌唱力の高さも私は初めて知った。食わず嫌いだったから手越くんの歌唱シーンは見たこともなかったし、アイドルがここまでレベルの高い歌唱をしてくると思わなかった。
とはいっても、本来のボーカルであるJAYくんが完全に霞むこともなかったし、その辺のバランス力の高さにも舌を巻いた。

ジャニーズを辞めて以降、ライブを1から自分でプロデュースし、音響にもこだわってきたという。
そんな手越くんだからできるあれをやったら面白いんじゃないかなという「客観的視点」も13人をいい意味で刺激したと思う。

手越くんの加入を通じて更に信頼関係を築き上げたからかわからないけど、話し合いの場面で全員で膝を突き合わせて課題や展望を話し合っていく場面では全員が「本音」を出し合っているようにも見えた。
夢を言い合ってるときに誰も否定せず、明るい表情をしていたし、最後のKARMAくんのリラックスした雰囲気での「紅白出たい」もシンプルながら印象に残った。
本当に紅白に出たら他局だけどKARMAくんの場面をぜひ使ってほしい。

スポーツの世界には「プレイングマネージャー」とか「選手兼監督」とか言う言葉があるが、手越祐也も歴としたそれである。

今回のドキュメンタリーを通して、私はすっかり13人にも手越くんにも見入ってしまった。
XYにはそれだけの魅力があると思う。

今後もたまに追い続けていく予定である。

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