熊本の交通系ICカード廃止への批判
企業は市民にも寄り添うべき
ニーズは現地の人に合わせるべきである。
熊本都市圏の私鉄・バス5社が2024年11月15日に全国交通系ICカード(以下10カード)の利用を終了するとのこと。
某半導体工場ができたことで台湾人をターゲットにした「インバウンド目的」であることは目に見えてわかる。
日本人を蔑ろにしてまで、
更新料をケチってまでやるべき話なのか。
12億くらいなんとかならんのか。
10カードを使っている乗客が1/4もいる。
これが1/10とか1/20とかなら廃止されてもぐうの音も出ない。
でも、1/4もいる時点で需要は十二分にあるだろう。
自社のICカードを使っている1/2の乗客は定期券利用であろう。
その中には「本当はSUGOCA1枚で完結してほしい」と思っている人もいるはずである。
そういう希望を聞くアンケートは取ったのか。
ただ「利用が少ないから」ではなくて「それしか使えないから」仕方なく自社のICカードを使わざるを得ない人も少なからずいるのではないか。
10カードという折角利便性の高いものが使えるのに、それを廃止するとは如何なものか。
熊本都市圏はJRのSUGOCAエリアである。
もちろん相互利用でSuicaやPASMO等も利用することができる。
JRでSUGOCA等を使って、そのカードでバスに乗れたら全てが一枚で済むじゃないか。
そういう利便性を高めるために、交通系ICカードの相互利用は始まったのではなかろうか。
わざわざ地銀の利権のために、ローカルエリアでしか使えないICカードを買わせる必要があるのか、甚だ疑問に残る。
熊本だけの問題ではない
これは熊本だけではなく、全国の地方都市で起こりうる問題である。
ローカルはローカルに固執すればするほど、衰退していく。
インバウンドよりも、全国基準への統一化が先ではないか。
それを通り越してインバウンド向けにクレジットを、なんてふざけた話である。
これを受けて熊本市民がどう動くかである。
ただでさえモータリゼーションが進みまくっている街だから、さらにバスは使われなくなって渋滞していくと思う。
そして減便や廃止に追い込まれる悪循環が生まれるのではないか。
たいてい不採算路線の廃止というのは需要減少と減便が繰り返された上に起こるものだと思う。
あえて便を増やすとか、他路線やバスとの接続を意識したダイヤにすればもう少し使う人が増えるのではないかという駅も少なからずあると思う。
3セク化した甘木鉄道は現にそれで黒字化に成功している。
減便されて当然という先述の意見とは矛盾する部分はあるかもしれないが、あえて利便性を高くすることで、乗ってくださいという企業のアピールにもなると思う。
クレジットにすれば解決?
「クレジットにすればいいじゃん」
そんなことを言い出す人が出てくる。
一般的な大人はそれでいい。
私もそうすると思う。
幸いクレジットを持てている人間なので。
でも収入面に難のある高齢者や無職は?
諸般の事情で審査が通らない人は?
年齢的にまず持てない子どもは?
交通弱者のために公共交通機関があるのに
むしろ「交通弱者」を切り捨てるような動きをするのか?
それはおかしいのではなかろうか。
「デビットカードがあるじゃん」
残高不足のときにその場でチャージできない。
それは不便ではなかろうか。
他にもQRがとか、そういう話もあるが、
機械に疎い人はPayPayなどを使いこなすのは難しい。
そもそもスマートフォンがない人もいる。
そして、子どもにQR決済は、未熟すぎて使わせるべきでないと考えている。
※現在「○歳からの金銭教育」を鋭意執筆中
カード型の交通系ICカード(10カード)はそういう面で交通弱者にも比較的優しいカードになっている。
チャージは駅やコンビニでできる。
千円札1枚あれば、バスの中でもできる。
バスを降りるときにチマチマ硬貨を探す必要がない。
多く入れすぎたとか、そういう事故もない。
ピッとしたときに決済後の残高もわかる。
しかも文字も大きいから老眼でも見やすい。
自販機やコンビニでジュースを買える。
熱中症対策にもなる。
ここまで便利なカードは他にない。
くまモンのICカードの最大のデメリット
くまモンのICカードを考えてみる。
そもそも、あのカードは全国交通系ICの決済としては使えない。
要するに自販機では使えない。
コンビニも熊本県内のローソンしか使えない。
スーパーも熊本県内のごくごく一部の施設しか使えない。
熊本県外ではほぼ使えない。
これが一番のデメリットである。
同じく熊本で買えるJR九州のSUGOCAなら
コンビニやスーパーなら対応していれば使える。
バスも電車も対応しているエリアなら使える。
自販機でも使える。
交通系電子マネーを表す「ic」のマークさえあればほぼ1枚で網羅できる。
どちらを選びたいか。一目瞭然である。
迷わずSUGOCA1択である。利便性が高いから。
公共交通機関を運営する企業はインバウンドばかりに目を向けるのではなく、今いる日本国民・都道府県民・市町村民がどちらを使いたいかしっかり調査して、そのニーズに寄り添っていくべきであると考える。
とはいえ所詮は「民間企業」
最後にキツいことを申し上げるが、市営地下鉄や市営バスは例外として、公共交通機関とは言えど大半は所詮「民営」である。
民営なら、営利がなければ運営できない。
だから、不採算路線は減便・廃止されて当然であるし、
必要でない決済はなくなって当然である。
これは田舎軽視とか、東京一極集中を奨励しているとか、そういうのでは決してなくて、現実的な話である。
営利を目的とする団体であれば、営利を産まないものは切り捨てられて当然なのである。
むしろ空気輸送の中運行できている路線があれば「あるだけありがたい」路線なのである。
2024年問題で減便・廃止されて困ります〜と言っている人達がいるが、そんなに困るなら継続的に乗ればいい。
特に減便や廃止に口を出す地元住民たち。
まずはその人たちが継続的に乗ってから口を出すべきである。
「使いません、でも残してください」
そんな自分勝手は言い分は通用するわけがなかろう。
「廃止するな」と言うのは非常に簡単である。
でも、運営している側からしたら売上に繋がらないものいらない。
乗って利益を上げて、住民側から私達の路線、この決済方法は必要なんですとアピールすべきである。
つづく(かもしれない)