「身分証明書」はどこまで認められるのか?
12月2日に「マイナ保険証」といって、マイナンバーカードと健康保険証が一体化されることになった。
これにより、従来の紙の保険証(カード型含む)は廃止となる。
健康保険証は身分証明書としても使用できる。
ただ、実際のところ健康保険証を身分証明書として使用するには効力に疑問が残る。
今回は、身分証明書はどこまで認められるのか、私の個人的な意見も踏まえて書いてみようと思う。
①マイナンバーカード
赤ちゃんから爺さん婆さんまで持てる日本に住んでるよ〜ということが証明できるカード。
おそらく今、公的な身分証明書の中で一番使い勝手が良いのではないか。
ICの読み取りで偽造がわかるとするのであれば、更に信頼性が高くなると思う。
日本国在住であれば、市町村役場に行けばタダで誰でも取得できる手軽さも魅力的だ。
今後、健康保険証や免許証との連携もはじまり、身分証明書としての利便性がさらに上がるのではないかと期待されている。
マイナンバーとは
マイナンバーカードには、マイナンバーと氏名・住所・生年月日・性別等が書かれている。
このマイナンバーというのは「個人番号」のことであり、その個人番号が書かれたカードが「マイナンバーカード」である。これをごっちゃにしてはいけない。
マイナンバー自体は日本在住なら誰でも持っている番号である。
「マイナンバーには色んな情報が入っている」と思われている方もいらっしゃるであろうが、原則としてマイナンバーは「税金」「社会保障」「災害対策」にしか使われない。
会社にマイナンバーを出す理由、確定申告にマイナンバーが使われる理由がそこである。
会社で行われる「年末調整」や自分で税額を申告する「確定申告」は所得税や住民税を行政側で計算するために行うものである。
マイナンバーから個人情報が漏れるリスクはほぼ0といっていい。この個人情報についても別の記事で。
そして、このあと説明するマイナ保険証のメリットにも繋がってくる。
②運転免許証(運転経歴証明書)
個人的に身分証明書として最初に想像するのは運転免許証である。
それくらい社会人なら必要不可欠な資格だと思う。原チャでもいいから持っておくべき。
個人的に四大卒(浪人なし)の年齢で運転免許証を持っていない人は何か事情があるのか勘繰ってしまう。
都道府県の公安委員会が発行するICカード式の証明書である。
もちろん車やバイクを運転するためにはこの免許証の携帯が必須である。
もちろんこれは日本の行政機関が発行した歴とした公文書であり、また国家資格の取得証明書でもある。
老若男女から認識され、日本国民が一番信頼を置いている身分証明書である。
「身分証を出してください」と言われたら、私は100%免許証を出す。
車で移動している以上、持っていないとおかしいので。
マイナ免許証ってどうなん?
そして、ここにもマイナンバーカードの影が。
マイナンバーカードと運転免許証を一体化しようという動きが出てきている。
正直、驚きである。
毎回警察さんがリーダーにカードをかざして「保有状況照会」とかするのだろうか?
マイナンバーカードと紐づけしてなかったら「免許不携帯!はい!3,000円!」になる日が来るのではないか。
免許の有効期限はマイナンバーカードどこに書いてあるのだろう。
はがきなら見逃しそうで怖い。
幸いにも免許証の方は現行の免許証とマイナ免許証の両方が発行できるみたいなので当分それでやってみたいと思う。
③パスポート
世界最強の公的証明書と言われている手帳。
これが一冊あればほとんどの国にビザ無しで渡航できると いう最強の手帳である。
持ったことないし、今後も持つ予定はないので中身はよく知らない。
でも、戸籍謄本を取らなければならないなど、手続きが煩雑である。
住所が書いてないので住所証明には使えない。
海外に行かないので持っていないから何も知らんけど。
④住民基本台帳カード
「住基カード」といわれるモノである。
よくわからないが、マイナンバーカードの市区町村バージョンみたいなものであろうか。
国家で一元化されたので役割はマイナンバーカードに引き継がれてしまった。
⑤障害者手帳
障害で日常生活に困難がある人たちのための手帳。
このあたりの身分証は写真が貼ってあり、本人確認が取りやすいというメリットがある。
また、行政が発行しているという信頼と、国民からの知名度も高いという実績もあり、身分証として広く用いられている。
ただ、どう証明に使えるかは申し訳ない。わからない。
⑥健康保険証
さて、ここで登場するのが健康保険証である。
まず冒頭で書いておくが、私はこの健康保険証を身分証として使うにはあまりにも不完全であると考える。
住所は裏面に手書きで書くことになっている。
残念。私は書いていない。
極端な話、嘘の住所を書こうと思えば書ける。
顔写真が載っていないので、身分証として使うには非常に安全性に欠ける。
極端な話、保険証の人の名前を騙って受診しようと思えばできる。いわゆる不正利用である。
あとは退職や期限切れで返却が必要。
転職を繰り返している人や、国保など期限が決まっている人はそのたびに貰い直す必要がある。
マイナ保険証について
これを踏まえて、マイナ保健証を身分証明として用いるにあたり、信頼性は高いといえる。
まず、マイナンバーカード自体で身分証代わりの照合が可能である。
ということは保険証の使い回しなどの不正利用も防止できる。
今回「マイナ保険証」の導入で大きく変わるのはここではないか。
あと心配されることとして「過去の病院歴が見られるのでは」ということがあるが、病院内でも勝手に患者のデータにアクセスする、持ち出すのは禁止されているはずだ。
もちろん、そこはデジタル庁さんも織り込み済みであり、勝手に病院側がマイナンバーを使って、その人の情報にアクセスするということは不可能である。
ここを履き違えている情弱情報に疎い人たちがマイナ保険証は怖いと言っているのではないかと思う。
要するに私が先日指摘した「デジタルアレルギー」である。
先述したとおり、原則としてマイナンバーは「税金」「社会保障」「災害対策」にしか使われない。
病院歴が必要になる健康保険は「社会保障」の一種であり、そこにマイナンバーが使われる。
それを使わないと保険料が払われないため、高額な医療費がかかる。国民がここまで安く受診できるのは健康保険という社会保障あってこそである。
行政が使用するマイナンバーは「電子化を通して日本を便利な世の中にする」ためのものであって、決して「国民に数字をつけて管理するだけ」のものではないことに注意していただきたい。
ちなみに薬歴はもちろん医師に伝えるべきものである。
飲んでいる薬がある人に対しては飲み合わせというものを考慮して薬を出すからだ。
効力がダブったり、打ち消し合ったり、薬の成分同士がぶつかって悪さしたり、毒になったり…そういう危険性もある。
それがデータ化されることによって、さらに投薬がスムーズに進むのではないかという期待もある。
今でさえ「お薬手帳」というアナログなものを使用しているので、それがデジタル化されてカードに記録されれば、「お薬手帳」も持ち運ばなくてすむかもしれない。
おまけ
衆院選の話に続いて、ネトウヨ的な発言をしている気はするし、自分でもネトウヨであることは認めている。
でも、根底で必要になってくるのはいまの日本にあるものを使って、どう日本を良くしていくかというところである。
この「いまの日本にあるもの」の中には、ものだけではなく、技術、学術、知識、人材、文化などあらゆるものを指す。
マイナンバーカードだって、日本の高い技術・人材があれば十二分に使いこなせるものであるし、国民がもっと正しい知識をつけていけば、もっとより良いものが生まれるかもしれない。
今回のマイナンバーカードだって、
「ただデータを吸い取るだけの怖いカード」
「行政手続きもできて、行政サービスも享受できる上に、身分証明までできる便利なカード」
どちらと認識するかは国民次第である。
それは国が積極的に理解を持ちかけるのももちろん、国民自身がしっかり勉強して、理解しようとする姿勢も必要である。
「まーた国がバカなことやりだしたよー」と批判だけをするのではなく、「変化することでどう便利になっていくのか」をよく見ていくことで、総理はじめ内閣だけでなく、政党や国会議員への評価を変えていくべきである。
…とはいえどレジ袋有料化とスプーンやフォークの廃止は納得行かないが。
手で持って帰れというのか、手で食えというのか。