2度とやりたくないバイトの話
先日久しぶりに「バイトを2年間で30回バックれたイッチ」のまとめ動画をyoutubeで見た。
そしてさっき、推し俳優さんの配信で「今まで色んなバイトをした」という話を聞いて、自分のバイトの経験を思い出したので書き残す。
時系列はとくにない、思い出すままに。
※ちなみにやって良かったバイト
・試食販売おすすめするやつ
・キャバクラのキッチン
・ゲーセン店員
▼本編
①家族経営のファミマ
高校1年生・春、記念すべき初バイト。
時給は760円くらい。
存在が空気なオーナー、いつも不機嫌な奥さん、意地悪なお姉さん(夫妻の娘)の家族経営。
初日からお姉さんにレジ・品出し・宅急便・お弁当のバーコード登録など全てを早口で説明され、当然さっぱり理解できず初日から怒られた。
オーナーも奥さんもお姉さんも変わるがわる毎日居るが、1〜2時間しか一緒に店頭に立たない。
毎回バイトに行くたびに家族ガチャ。
オーナーなら平穏無事に何事もなく、
奥さんは仕事においてのみチェックが厳しく、
お姉さんは何が悪いのかよくわからない事で睨まれたり舌打ちをされたりするので、お姉さんの日はハズレだった。
よくシフトが一緒になるアニメ好きな穏やかなメガネのお兄さんと、お姉さんの機嫌を取るのがうまいバンドマンのお兄さんがフォローしながら仕事を教えてくれた。
2人がいたから3ヶ月くらい頑張れた。
廃棄になる食品をバイトがもらって帰れるお店だったので、たまに先輩たちがお弁当などを選んだ後に、余ったパンか何かをひとついただいて帰っていた。
ある日珍しく夜まで店に居たお姉さんに帰りの挨拶の際「廃棄のこれいただきます」と言うと
「…廃棄だってタダじゃないんだけどね💢」
となぜかわたしだけ嫌味を言われた。
一緒にあがったメガネのお兄さんが帰り道励ましてくれたけど、平日に毎日出れない事でよく嫌味も言われていたしもうやだなあと思い、翌日には今出してるシフトが終わったら辞めるとオーナーに伝えて辞めた。
2人のお兄さんは「お姉さんの機嫌さえ取っておけば比較的自由で楽な職場だ」と居心地は悪くなさそうだった。
初バイトがあまりいい思い出ではないので、家族経営と聞くとちょっと身構えてしまいがち。
コンビニはセブンイレブンとサークルKが好きだ。
②薄暗い倉庫で袋に安全ピンを詰めるバイト
「何のバイトした?」って話で一番食いつかれるやつ。日雇い当日払い的なバイト会社に登録して行った「ピッキング作業」「倉庫整理」的なジャンルだったと思う。
朝どこかの駅に集合してバスに詰め込まれ、知らない倉庫の前で降ろされ、フラフラと無心で倉庫に吸い込まれる集団。
倉庫の床にはたくさんのブルーシートが敷かれ、それぞれに1箱の段ボールが置いてあり、適当に4人1組で段ボールの四角に座るよう指示され座る。
段ボールの中には大量の安全ピン。
それを箱の横に散らばる小袋に7個づつ詰めて、箱の中にあるビニール袋に小袋をまとめていくのがその日の仕事だった。
※何の仕事をするのかは事前に告知ない形式
確か春くらいだったと思うが、日も当たらない倉庫の床は冷たく、天井高くにある照明は作業に支障が出ない程度しか灯されておらず、薄暗くじめじめした感じだった。
作業が始まっても誰も何も喋らない。
箱から安全ピンを取り出す「カシャ…」とか、小袋を袋に入れた際の「カサッ…」という軽い音、あとは周囲から聞こえる鼻をすする音。
1度だけ誰かがめちゃくちゃでかいくしゃみを倉庫に響き渡らせた時がその日一番のハイライトだったと思う。
正直30分でもう帰りたくなってた。
でも時間を気にすれば気にするほど時が永遠に感じられてしまうので、ひたすら好きなバンドのアルバムを頭から脳内再生したり、帰ったらどんな絵を描こうか考えたりしながら安全ピンを7個取っては詰め、7個取っては詰めて過ごした。
お昼休みがどんなだったかも覚えていない。
誰とも話さなかったけど外で太陽の光がまぶしいなと思ったのだけは覚えている。
8時間ひたすら安全ピンを詰めて、日給8000円くらいだった気がする。
日雇いバイトの元会社に「明日も行くか?」と聞かれたので「他の所で」と希望を出した。
常連というか、レギュラーで勤務している人も多く居るらしい。人と関わるのに嫌気がさした時にまた来ればいいやと思った。
③倉庫にネズミの居るケーキ屋さん
個人的には一番気付きがあったバイト。
そこそこ大きな駅ビル地下通路に入っていた、持ち帰り専用の小さなチェーン店。
朝8時の開店準備から昼12時までケーキ屋(週4)
その後少し休憩して16時から23時まで近所のパチンコ屋さん(週5)でバイトをかけもちしていた。
ケーキ屋さんといえば小さい女の子憧れの職業に今でも挙がるのかは知らないが、その可愛いイメージとは裏腹に開店準備はなかなかの体力勝負だった。
まだ開店前なので空調の入っていない薄暗い地下通路を、業務用キャスターを押しながら地下駐車場まで。
店のトラックを見つけたら受け渡しを行い、大量のケーキが積まれたでかいプラスチックの箱をエレベーターの扉が閉まる程度に積み、2人がかりで汗まみれになって店まで運ぶ。
ビニール手袋の中が汗で滑るので開店までに2回は手袋を変えるし、汗で化粧が落ちるので早番メンバーはみんな顔が薄い。
プラスチックの箱から中腰で素早くショーケースのトレーに倒さないよう気をつけながらケーキをひたすら並べ変えていく。
9時45分になると作動する空調を待ち侘びつつ、開店までの2時間毎日ギリギリで準備をこなす。
あまり午前中はお客さんも来ないので、開店したら先輩は前日の在庫確認など書類仕事をしながら店舗に、
下っ端のわたしは箱やシールやおめでとうプレートなどの備品をチェックして、足りなければ裏の倉庫から補充する役割だった。
裏の倉庫は近隣のパン屋さんやお菓子屋さんと1部屋を分け合った共有スペースで、わたしの居たケーキ屋さんでは備品以外の食品は一切倉庫に置いていなかった。
が、パン屋さんが小麦粉の袋や砂糖など何かしら粉物を置いていたためか、はたまた当時は老朽化した駅ビルの地下倉庫ならではなのか、倉庫にはネズミがいつもいた。
「いつも」というのはカサカサと動きまわる音がしたり、時に棚の下からちょろりと顔をのぞかせたり。
それだけなら良かったのだが、大半はネズミ捕りにかかって苦しげに鳴き声をあげる姿だった。
強力な粘着テープで動きを封じる類のもので、ゴキホイのように屋根がついているわけでもなく、テープに捕まって倒れるネズミを直接目の当たりにする。
倉庫のドアを開けるたびに「キーキー」と鳴く声が聞こえないか身構える。
ここに捕まってしまったネズミはこの後どうなるのだろうか?
そのままゴミ袋にでも入れられて、廃棄のパンやゴミと一緒に収集車に入れられてしまうのか。
ある日、ネズミ捕りにかかって苦しげなネズミの周りを心配そうに歩き回る2匹のネズミがいた。
家族なのか、兄弟なのか。前脚の毛がテープについては慌てて離れ、それでも見捨てられないのかうろうろし続ける2匹のネズミ。
倉庫に取りに来た箱を抱きしめて泣いた。
わたしには向かない職種だなあと思って、それが最後の飲食系バイトになった。
2度とやりたくないバイト語りはおしまい
▼蛇足
わたしが居ても居なくても、ネズミは倉庫に砂糖のひとかけらを求めて徘徊するし、ビルは建て替えもせずボロいままで、パン屋も小麦粉を倉庫に置くのをやめない。
普段わたしが買いに行くお店、食べに行くお店、スーパーでもコンビニでも、食べ物を扱う店では害虫や害獣と呼ばれる生き物は駆除するのが当たり前。
わたしが知らない見る機会がないだけ。見えたものだけいちいちかわいそがるなんて馬鹿らしい。
そうやって衛生が保たれているから自分がうまい安全なごはんを食べられるわけで。
いいか悪いかとかの話じゃない。
じゃあ何の話かと言えば、好き嫌いとか、自分に合うか合わないか、そういう話だと思う。
むずかしい。
だから見なくて済む職場を選ぼうと思った。
わたしはゴキブリすら捕獲して逃す人間だ。
小さい羽虫も綿棒の入ってたケースとかで捕獲して逃すし、夏場に行き倒れたセミやアオドウガネを助けるのはもはやライフワーク。
命に関わる害じゃない限り出来るだけ他の生き物の命は尊重したいし、それ以前に人間以外の生き物が好きだし、ふつうに優しくできるならしたい。
当たり前のようにティッシュや手で叩き潰すんじゃなくて、細い道で端によけて向かってくる人に道をゆずるみたいにしたい。
道路の真ん中でひっくり返るセミは、目が不自由な人みたいなものだと思う。人間の世界が見えなくてそこが危ないと知らない。
人間のように杖や音で感知する事もできない。
こっちですよと黄色い線のデコボコに案内するように、草むらに連れて行ってあげるだけ。
ただの自己満足だけど、そういう事ができない、そういう事と反対の環境や生き方は自分にとってすごく生きづらいなあと気付いたのが、ネズミの居るバイト先での経験だった。
自分が生きやすい、働きやすい環境は人それぞれ。そんな話。
ちなみにこのケーキ屋さんでバイトしてる間に5㎏太ったけど、辞めてケーキ食べなくなったらすぐ元に戻った。
まだ食べ盛りの時期にかけもちバイトで体力勝負な時にケーキ屋さんはあんまりおすすめできない。