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アートナビゲーター ・金融マンの週末美術館巡り雑感の記

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過去30年ほど国内外での仕事に刺激と癒しを与えてくれたアートを巡る出会いをベースに、最近の美術館巡りの雑感を掲載します(コロナ禍が収まるまでしばらくは国内ですが、、、)。
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2020年10月の記事一覧

「桃山天下人の100年」展 東京国立博物館

「桃山天下人の100年」展 東京国立博物館

雨降る土曜日の夜、東博の「桃山天下人の100年」展に出掛けた。

同時代を彩る200点余の出品物の中、見入ったのは等伯の国宝≪楓図壁貼付≫(10年前やはり東博の「没後400年長谷川等伯」展でも見たはずだけど)。中央に楓、向かって右には濃密な秋草、同左には一転金箔の空間と、この画面処理、緻密綿密な計算に基づいているんだろう、それでいて見る者の気持ちをスッと動かす。これぞプロ。

能登から上洛して保守

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「江之浦奇譚」 杉本博司

「江之浦奇譚」 杉本博司

注文をしておいた杉本博司氏の新著『江之浦奇譚』(岩波書店)が届いた。「江之浦測候所」を巡る同氏の一代記の模様。

江之浦測候所を訪れたのは丁度2年前の晩秋。広大な敷地の中に再現された杉本ワールドに大いにinspireされた。今もそうか分からないが、確か図録のようなものはなく、少し寂しい思いをしたことを思い出した。

これからの季節、格好のbedtime readingの一冊になりそうだ(写真もふん

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ピーター・ドイグ展

ピーター・ドイグ展

ピーター・ドイグ展、会期終了が近い金曜夜に何とか飛び込む。前売券は1月に買っていたにもかかわらず。

ピーター・ドイグ、多才な人だ。具象と抽象、遠近法と平面的な画面処理等々、確かで多様な技術を駆使しつつ、見る者にはひたすら自由な想像力を提供する。看板の1枚《ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ》の前では、そこに込められたストーリーに思いを馳せる。

電光ギトギトインスタレーションなど何でもあ

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