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社会人の英語習得法について語ります
皆さん、こんにちは。神村です。
前回はビジネスに活きる趣味・習い事をテーマに、神田さんと私が取り組んでいる習慣について取り上げてました。
今回は、社会人の英語マスター法について、引き続き神田さんと対談形式で語り合った内容をお伝えします。私が若い頃から「これからのビジネスマンにとって英語は必須」と言われ続けていますが、それは今でも全く変わらないと思います。グローバル化が進んでいるとはいえ、依然として日本人の中には「苦手意識」が根強くあるのではと思ったりもします。
ちょっと「昔の勉強法」と思われるかもしれませんが、語学習得に近道はないし、昔も今も大して変わらないのではという思いで、お話しした内容のまとめ編です。ぜひご一読ください。
(本稿は「Off the pitch talk 」第126~128回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー&文責:神田さんでお届けします)
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#126 : https://stand.fm/episodes/6107cfbf16765400066035df
#127 : https://stand.fm/episodes/610a63af9a2fe90006f358a9
#128 : https://stand.fm/episodes/610cf9b99a2fe90006f383b5
「英語を学ぶ」ではなく「英語で学ぶ」
(神村):今回の企画は、以前から神田君と話したかった「ビジネスマンにおける英語学習法」を取り上げたいと思います。英語を習得したいと考えているビジネスマンって多いですよね。でも、英語をマスターするのは決して簡単でないというのもこれまた事実です。僕も本当に苦労もしたし・挫折もしたから、そんな話を交えながら多少なりとも皆な産の役に立つような話をしてみたいと思います。
(神田):僕も留学していたとはいえ、まだまだ全然道半ばなので、いろいろ参考にさせてください。
さて、早速本題に入りたいのですが、英語学習において大切なポイントとはズバリ何でしょうか?
(神村):僕がよく言うのは、”英語を学ぶ”のではなくて、”英語で学ぶ”と結構うまくいくよ!!。ってことかな。なんだかんだと言って、日本では中学からずっと英語やってるわけだから、もうみんな基礎はあるんだよ。だから、英語自体を学ぶっていうから少し離れて、自分の興味がある分野(例:スポーツ、料理など)を決めて、そのテーマに関する記事やニュースを英語で学ぶのが良いと思います。
(神田):そうですね。僕の周りの留学経験者も口を揃えて言っていますが、英語を学ぶこと自体を目的にしていると、途中で挫折したり、モチベーションが続かなくなる傾向が見られます。僕の場合、最近では東京オリンピックのニュースが海外メディアでどのように報道されているのかを実際に調べて確認しています。
(神村):相変わらず神田さんはまじめだね・・・・笑
まず何か知りたいテーマが先にないとなかなか続かないよね。メディアの報道記事なんかは、学ぶ上では良いツールだと思うし、そこで使われている微妙なニュアンスやボキャブラリーを学ぶことで、自然と力がついてくると思うんだよね。他に意識しているポイントはある?
(神田):日常生活の中で、なるべく英語に触れる機会を多くする努力はしています。ラジオでBBCを聴いたり、自分のスマホの画面設定を英語に変えたりして英語に強制的に触れる環境を作ったりしてます。
(神村):本当にストイックだね。僕はそんなに生真面目じゃないから、とてもそこまではできないけど、ちょっと前まではトランプ前大統領のツイッターフォローしてたかな・・・笑・・・・品のない英語だな何と思ったりもしたけど・・・
(神田):それ面白そうですね(笑)
少し話は変わりますが、ビジネスの場で神村さんが言語を学ぶ大切さを感じたご経験はありますか?
(神村):これは人材業界に居た頃の話なんだけど、当時かなりの時間とお金を投資して中国語にチャレンジしたんだよね。中国関連の求人が多くあったし、会社にも多くの中国人社員が居たので、業務的にも必要だと思ったのがきっかけだったんだ。でも、よくよく考えたら当時は完全に”中国語を勉強しよう”と考えてたから、だんだんと学ぶのが苦痛になってきて、結局目標達成できないまま挫折してしまったんだ。(どうしても中国語検定2級が受からなかった)僕は義務感ではモチベーションキープできなかったと思う。その経験からも、自分の興味あることを関連付けるのはとても大事だと思うよ。
(神田):たしかに、英語に限らず他の言語にも当てはまる話ですね。
英語学習も基本が大切
(神村): そうは言っても、具体的にどうやって勉強したら良いか分からない人が多いと思うので、僕の駐在経験も踏まえながら話したいと思います。その前に聞きたいんだけど、神田君も学生時代はフランスに留学していたんだよね?どうしてフランスを選んだの?
(神田):実は、フランスに行きたかった訳じゃないんです。当時、留学先を決める上で重視していたのが、①:学問を深めるというより実践的なビジネスの知見を学べる環境(例:ビジネススクール)であること、②:英語圏以外の国(※学校の授業は全て英語)であることの2つでした。この条件で候補を絞ったら、ピッタリの条件が当てはまった学校が偶然にもフランスにあったんです。2点目に関しては、英語がビジネス環境では必須だと認識しつつも、英語圏以外(できればヨーロッパ)の文化や生活を経験したかったという、ある種のこだわりがありました。
(神村):なるほどね。神田君は言語を学びに留学したのではなく、ビジネスやその土地の文化・生活という学びのテーマがハッキリしていたから、そういう選択が出来たんだよね。
(神田):はい。ただ、日常生活でフランス語を使う場面が多々あったので、結果的にフランス語もかなり勉強しました。留学当初は全く話せませんでしたが、帰国直前にはフランス語である程度意思疎通ができるレベルまで上達しました。
(神村):へぇー、今でもフランス語は喋れるの?
(神田):日本に帰国してからはフランス語を使う機会が減ってしまったので、かなり忘れてしまっています。コロナ以前にフランスから日本へ観光しに来た友人を案内する際も、終始フランス語ではなく英語を使ってました。。(苦笑)
(神村):そうだったんだ。神田君も交換留学の試験を突破する上でも英語の勉強してきたと思うけど、高校時代に学んだ基礎的な構文や単語がビジネス英語で結構役立つことが多いよね。僕は高校時代に使っていた参考書や単語帳をずっと使い続けてるんだよね。駐在時代にはアメリカ人のメンバーから「神村はボキャブラリーが豊富だね」と言われたのが自慢かな。
(神田):ネイティブに褒められたら嬉しいですし、自信にも繋がりますね。具体的にどんなテキストを使っているのでしょうか?
(神村):僕のバイブルとも言える英語の参考書はたった3冊。まずは「試験にでる英単語」(通称:しけ単)です。次は「試験にでる英熟語」(通称:しけ熟)、そして最後が「新英語の構文150」です。この本の内容さえマスターすれば、たとえビジネスの場であっても非ネイティブの英語力としては十分な水準だということが分かりました。会議での発言はもちろんだけど、英語のメールを書く時でも非常に有用です。駐在してから、大学受験の時の勉強が大事だったと改めて気付きました。
(神田):僕も前職や今の職場で英語を使う機会がありますが、単語帳・構文書に関しては大学受験で使ったテキストを今でも使っています。逆に言えば、それで事足りてしまうんですよね。
(神村):駐在していた頃、アメリカンスクール出身の日本人の同僚がいて、彼の英語の発音や喋り方は凄く流暢だったんだけど、アメリカ人の方に言わせると、彼の英語は流暢だけど子供っぽい印象だったみたい。日本語でも、大人と子供で使う単語や文章が異なるのと全く同じだよね。多少たどたどしくても良いから、きちんと話すことを重視した方が伝わるよってアドバイスされた時は、どこか肩の荷が下りた感じがしたよ。
(神田):大学受験で学んだことが決して無駄にはならないことが分かって僕も一安心です。(笑) まずは高校時代のテキストを引っ張り出して、それを復習するのが上達への近道かもしれませんね。
日常会話より、まずはビジネス英語
(神村): よく周りの人に「英語どれくらいできますか?」と聞くと「私、日常会話くらいはできるんですが、ビジネスレベルでは全然できないんですよ」って答える人、結構いるでしょ?
(神田): はい、確かに多いですね。
(神村): 僕がいつも思うのは、「それ、本当かな?」ってことなんだ。アメリカにいた頃も、仕事で英語を使うより、ネイティブの同僚達とランチに行って英語で会話する時の方が圧倒的に大変だったからね。
(神田): それは多くの人が抱くイメージと違いますね。どうしてですか?
(神村): 日常会話の方が学校で習わないスラングが多用されるし、話題について、そもそもの前提知識やバックグラウンドが無い状態だから、相手が何を話してるのか途中から全く分からなくなるんだよ。現地のバラエティ番組なんかを見ても、言葉の意味は分かっても、それの何が面白いのかが分からないんだよね。仕事であれば、自分の中に知見があるので、多少わからなくても推測できるし、知っている言葉を英語に置き換えていけばいいと考えればすごくシンプルです。だから、最初からビジネス英語を難しく考え過ぎない方が良いかもしれないね。
(神田):僕も留学時代、クラスメイトのイギリス人とランチに行く機会があって、お互い好きなサッカーの話題を僕から振ったんです。コミュニケーションは取れたのですが、後で彼から「英語の表現が若干フォーマルだから、もっとカジュアルで良いよ」って言われたんです。つまり、僕らが大学受験で学んで使っていた英語表現は、ビジネス等のフォーマルな場面でこそ使える表現なんだと気付きました。仕事の場面では自信をもって話せばいいってことですよね。
(神村):まさにそうなんだよね。あともう一つ大事なのは、相手が何を言ってるのか分からない時に “I beg your pardon?” みたいな「もう一度言ってもらえますか?」ということを言えるかだね。駐在時、これを裏付けるエピソードがあったんだ。リクルート事件という出来事があって、当時アメリカの現地法人でも裁判になっていました。僕は現地法人社長、日本本社の法務部社員、アメリカ人弁護士と一緒に会議に出席していました。会議で弁護士が我々に対して色々とアドバイスをしていたのですが、会議の途中で突然、現地法人の社長が「通訳を入れてくれないか?」って言ったんです。その社長は英語がとても流暢だったので、会議の内容は理解している筈でした。僕は非常に驚きましたし、弁護士も困惑した様子でした。そこで、彼は「会社にとっても重要な決断が迫られてるから、日本語で100%理解したい。中途半端な理解では判断を間違うかもしれない。」と回答したのです。それで会議は無事に終わったのですが、後で現地法人の社長から僕はもの凄く怒られたんです。「お前は、あの会議の内容を100%理解していたのか?ある意味、会社を代表して会議に出ているのに、70~80%の理解で判断を下すなんて言語道断だ。終始ニコニコして首を縦に振るだけの日本人には絶対になるな!」 と言われて、脳天を撃ち抜かれた様な強いショックを覚えました。一緒にいた法務の社員も、「あんなことは二度としたらいけない」って泣きながら反省していたのを鮮明に覚えています。
(神田):日本語の会議でも「すみません。それどういう意味ですか?」って聞けない日本人は多いですよね。誰しも一度は経験していると思います。それが英語になると、余計に心理的ハードルが上がってしまうのかもしれません。
(神村):英語を学ぶ目的は仕事で使うとか様々あると思うけど、誰しも学びの過程で必ず壁にぶち当たります。その際にわからない部分をほったらかしにしないこと、「わからない」と言うことを恥ずかしがらないことが、大事だと思う。そういう部分は、仕事も同じだよね。
まとめ:英語は目的ではなく手段
(神田): 今回は英語学習というテーマでしたが、神村さんの駐在時のエピソードが色々と聞けて良かったです。
(神村):よく言われることだけれど、あくまで英語はコミュニケーション上の手段に過ぎないんだよね。冒頭でも話したように、英語学習自体が目的にあるのではなく、各人にとってどれだけの英語スキルが必要なのかを認識して、日々継続して学ぶことが大切だと思います。
(神田):そうですね。次回も引き続き英語、とりわけリスニングに焦点を当てて神村さんとお話できればと思うので、引き続きよろしくお願いします!神村さん、今回もありがとうございました。
(神村):ありがとう!また次回もよろしく!
(文責:神田)