いま話題の「スポーツ×ソーシャルアクション・SDGs」について考えよう③
皆さん、こんにちは。神村です。
前々回の投稿から、一貫してスポーツ×社会貢献活動に焦点を当てて小出さんと話しています。
3回目となる今回は、読者の皆さんにも、社会課題をより自分ごとに落とし込むためのきっかけ作りにしてもらいたいと思います。
(本稿は「Off the pitch talk 」第167~169回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー:小出さん、文責:神田さんでお届けします)
↓↓音声で聞けるstand.fmはこちらから↓↓
#167 : https://stand.fm/episodes/6188edd969dd3c0006d9244f
#168 : https://stand.fm/episodes/618b933d952f590006ccea05
#169 : https://stand.fm/episodes/618e4499b6cdc3000642895c
来シーズンへの展望
(神村):今季のJリーグも残り数試合(収録時)になってきた中で、社会課題への解決に向けた取り組みが、サッカー以外の競技にも見られるようになりました。僕が今シーズン関わってきたモンテディオも含め、来年は全国各地のスタジアム・アリーナに行けば、そうした活動を目にする機会が多くなると思います。
(小出):来年は今年以上に盛り上がりそうですよね。
(神村):サッカーに限らずどの種目を観に行っても目にするということは、そこから段々と活動の輪が広がるんじゃないかなという思いもあります。クラブが今なぜ取り組んでいるのか、活動を通じてどういう社会を目指しているのかが大事という話を以前の回でもしてきました。単にスタジアム集客のための話題作りのためにやるよりは、イベントで終始せず、例えば環境問題やジェンダー不平等の問題などに向けて発信をする場になれば尚良いと思うんだよね。
(小出):最初はイベントで始まるのはともかく、最終的にはクラブの PR 活動だけに留まるのは勿体ないという考え方ですよね。
(神村):そうだね。あとは選手に対しても、「クラブがやっているから」という名目で活動を手伝って欲しいとか、わざわざ練習の合間やオフを削ってまで活動させるという形にはさせたくありません。選手には協力を仰ぐのではなく、あくまで選手側から自主的に活動に参加し、メッセージを発せられるようになれば本物だなと思います。
クラブが社会貢献活動をする意義
(小出): SDGs や社会貢献活動を始めることはとても大事だと思うのですが、その本質的な意義はどこにあるのでしょうか?
(神村):活動の意義は、社会貢献が「自分ごと」になるきっかけ作りになることだと思っています。クラブにしかできない、クラブだからこそ出来ることって沢山あるんだよね。社会貢献活動においても、スタジアム観戦者が偶然目にして「自分たちもやってみよう!」って思ってもらえたら、目的は半ば達成だと思うよ。
(小出):また、個人だけでなく、より活動の輪を広げるには、自治体や民間企業を巻き込むことも大事ですね。
(神村):そうだね。クラブ主導で巻き込むことも大事だし、逆に巻き込まれることも同様に大切なんだよね。我々が活動を主導するからと言って、環境問題の専門家である必要はないし、興味・関心があれば取り組めると思うので、自らハードルを上げる必要はありません。
(小出):本来は、活動のハードルを下げるための行為とも言えますからね。
(神村):その通りだね。だから、やらなきゃいけない(Must)の軸ではなくて、自ら進んでやりたい(Will)の軸で取り組むことが非常に価値を生むんだよ。僕が毎回思い出すのは、W杯の時に日本代表のサポーターがスタジアムのゴミを拾って帰るエピソードです。そういった意識って日本人に備わっている物だし、通常の J リーグや B リーグの試合でも見られる光景じゃないですか。それって日本人として凄く素敵なことだと思うんだ。
(小出):ゴミを拾うという意識が当たり前に備わっているように、他の社会課題に対しても当たり前に考えて行動できることが理想ですね。
社会貢献活動の発信は全員が出来る
(神村):逆に僕が気になっているのは若い人たちの社会に対する意識なんだよね。先日も衆院選があったけど、10~20代の若者の投票率は50%未満だし、全体で見ても他国に比べたら圧倒的に低いですよね。一方、海外では政府に対するデモの映像がニュースで報道されています。その是非はともかくとして、日本人の若い人たちは社会への問題意識は持っているけど、選挙に行かないっていうのは何でなんだろう?
(小出):一概には言えないですが、政府と社会貢献の関心が切り離されているとは感じます。日本って海外に比べると治安も良くて、セーフティーネットもある程度は整っているから、別に今すぐ政府に何かを求める必要性を感じないというのが本音だと思います。国の将来に対して一抹の不安はあるけど、危機感みたいなものは薄いのかもしれません。一方で社会貢献に関しては、様々な問題を身近に感じるので、関心が高いのだと思います。
(神村):なるほどね。例えば、気候変動や脱炭素をどう実現するかといった問題は、自分たちが生きている社会、それこそ50年後の未来を見据えると、危機感を覚えるのはとても理解できます。
(小出):選挙で当選する議員は僕らよりもずっと大人の世代ですし、実際に僕たちが動いたところでどうなるのかという部分はありますね。例えば、法律やルールが国会で変わったことで、自分たちの意思がどれだけ反映されるのかは未知数ですし。
(神村):「火力発電所を廃止します」とか、「原発の稼働を停止します」といった議論に対して、若い人たちがどこまで声をあげられるのかという点も気になるんだよね。仮に廃止するって意見があった時に、若い人はどういう考え・スタンスを持っているのかを、スポーツ観戦者にも啓蒙していくことって大事なんじゃないかって思うんです。あるいは、皆で投票に行きましょう!って呼びかけることだって出来そう、とかね。
(小出):やり方は考える必要がありそうです。もし自分がスポーツ観戦者に投票を促す活動を主催するとしても、自分が選挙制度や投票に関して詳しくないので、僕の言葉で多くの人を動かせるのかという不安はありますね。
(神村):各々の中での意識はあっても、他者を巻き込んだりとか、ともすれば過激だって思われるかもという躊躇があると思うな。今まさに、大きな波を起こすためのさざ波が立った段階だと思うので、これを更に大きくするのが来シーズンなのかなと思います。
まとめ:まずは自分から発信していこう!
(神村):ともあれ、僕らができる社会貢献ってなんだろうってことを、まずは自分の中で落とし込んで、外に向けてどんどん発信していくのが大事だね。
(小出):そうですね! Standfm や Note だけでなく、 Off the Pitch Talk でも何か社会貢献につながる新しいことに挑戦したいですね。
(神村):それは良い提案だね!是非やろう!
(文責:神田)