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いま話題の「スポーツ×ソーシャルアクション・SDGs」について考えよう①

皆さん、こんにちは。神村です。

前回は、J リーグの「ホームタウン制度撤廃」の誤報について、その背景や本質について深堀ってみました。
今回は「スポーツ×社会貢献活動」というテーマでお届けします。近年サッカークラブ(スポーツ界)に限らず、社会的に "SDGs”や”社会貢献”というワードが注目を集めています。是非読んでもらえたらと思います。
(本稿は「Off the pitch talk 」第161~163回の放送内容のまとめです。今回はインタビュー:小出さん、文責:神田さんでお届けします)

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#161 : https://stand.fm/episodes/6176789b0052ab0007774782
#162 : https://stand.fm/episodes/61791e070052ab00077773b5
#163 : https://stand.fm/episodes/617bc1ac7e5c390007fef887

スポーツと社会貢献活動の親和性

(神村):最近「スポーツ × 社会貢献活動」って組み合わせが、メディア記事やイベントなど随所で話題になっています。実際、日本財団とニールセンが社会貢献活動に関する調査レポートを発表しました。内容を要約すると、スポーツ観戦が好きな人たちは、社会貢献活動に対して積極的な傾向にあるらしいんだよね。これについて、小出君はどう思う?
(小出):たしかに最近よく見聞きするホットなトピックだなぁとは思っていましたが、そんな傾向があるとは知りませんでした。とても面白いですね。
(神村):実は今年の3月、全く同じ趣旨の調査を Sports for Social という別団体も実施していて、多少数値の誤差はありますが、同じ傾向の結果でした。つまり、スポーツに関心の高い人は社会貢献活動への関心も高いということだね。
(小出):なるほど。これらの結果から導き出される示唆は何でしょうか?
(神村):まず、誤解して欲しくないのはスポーツ以外、例えば文化・芸術・科学といった分野に関わる人たちが社会貢献活動に関心が低いということを言っているわけではないということです
このデータから言えることは、スポーツ関心層を通じて社会貢献活動のPRや呼びかけをすることで、一層の広がり期待できるということだと思います。
(小出):改めて、社会におけるスポーツの可能性や力が見え始めていますね。
(神村):オリ・パラでもそうでしたが、アスリートの発言や、活動が一般人への訴求力をもっていますからね。同様に、文化・芸術・科学など様々な分野の方たちと手を取り合って、社会課題を解決していける世の中になるといいですね。

なぜ”今”、社会貢献活動なのか 

(小出):さて、調査結果のデータを基にして、スポーツと社会貢献活動の関係性を紐解いたわけですが、そもそもなぜ今スポーツ界で社会貢献活動の動きが広まっているのでしょうか?
(神村):良い質問だね!過去の放送でも様々話してきましたが、やはり大きなきっかけとなったのは東京オリンピックの開催です。世界中でオリンピックの開催是非など議論が交わされましたが、大会期間中に世界各国から集まったアスリートたちが LGBT の問題や地域の紛争などの困難を乗り越えて参加したことへの影響はとても大きかったと感じます。選手自身や各国メディアの発信もあるから、当然のことながら人々の関心は広がりますよね。
(小出):たしかに、僕もボランティア活動を通じて、国代表での参加が難しい選手たちを目にしました。今回は無観客でしたが、仮に有観客で開催してたら、もっと影響が広がったのだと思いますね。
(神村):僕は最近、身の回りの現実問題として、このままだと本当にヤバい、大変なことになるという感覚があります。気候変動なんかは特に心配になります。
(小出):そうですね。僕が幼い頃はあまり実感できなかったのですが、最近は年々暑くなってる実感があって、そこは心配しています。
(神村):貧困の問題についても気になっています。給食費が払えない子供がいる家庭や、奨学金が返せない大学生、若手社会人がいます。社会の基盤の弱さに人々が気づき始めたとも言えるかもしれません。若い人たちが将来に対して危機感や不安を持っている現実に対して、大人、とりわけ政治家の責任は大きいと思います。
(小出):おそらく、メディアが発達したことで様々な情報が目に入るようになったことも一因ですね。
(神村):実際に小出君みたいな若い社会人がオリンピックのボランティアに参加したりとか、オフザピッチトークで社会貢献をテーマに話してみようとする動き自体が、大きな変化だとは思う。この動きがもっと加速すると良いね。

サッカークラブの社会貢献活動の事例

(小出):今度は実際にクラブが行なっている社会貢献活動の事例についてお伺いしていきたいと思います。
(神村): まず、 Jリーグは元々ホームタウン活動に代表されるように、地域あるいは社会に対して貢献するという理念を持ちながら活動してきました。一般的に社会連携活動(通称"シャレン!")と呼んでいて、主催者・参加者双方が積極的に関われる取組をやっています。J1 だと川崎フロンターレさん、 J2だとヴァンフォーレ甲府さんが有名ですね。地域の企業等と組みながら、様々なテーマで実施しています。私は大分トリニータとモンテディオ山形の両クラブで社会貢献活動を推進してきた内容を改めて話したいと思います。
(小出):はい、よろしくお願いします。
(神村):大分で活動を始めたのは2018年に遡ります。「障がい者スポーツ」という観点で、今回のパラリンピックであった種目等を通じ、アスリートを応援するだけに留まらず、健常者と障がい者が一緒にスポーツを楽しむという理念を大切にしてきました。今でも全てのホームゲームで開催されていて、かれこれ4年目になります。トリニータの継続力には頭が下がります。
(小出):そうなんですか。ここまで続いている要因は何かありますか。
(神村):一概には言えないけど、大分県は県民含め、障がい者の雇用や障がい者スポーツの普及に積極的なのが関係していると思います。例えば、大分では世界車いすマラソンが毎年開催されていますし、パラリンピックの父と言われた中村裕先生も大分県出身です。このように、大分と障がい者スポーツは、深い縁のようなものがあるのだと思います。
(小出):そうだったんですね。山形では何をされてきたのですか。
(神村):モンテディオ山形は「ユニバーサルスポーツ体験」ということで、障害の有無や年齢、性別などに関わらず、皆でスポーツを楽しもうという理念に基づいて活動しています。平たく言えば、祖父、父、孫が3世代で一緒に楽しめるスポーツをやるイメージです。もう一つ大きな軸が SDGs の活動です。こちらはごみ問題や食品ロスをはじめ、環境問題・健康増進など幅広くテーマを取り上げて活動しています。展示コーナーを常設し、そこに来てくれる方々とさまざまなイベントを行っています。どちらも一過性のイベントではないという点に価値があると思っています。
(小出):なるほど。たとえ毎回の来場者数がそこまで多くなくても、1年間通してやり続けることで、クラブの意思表示ができますよね。
(神村):正にそれが大切なんだよ!継続は力なりで、クラブとしてやり続ける意思さえあれば、 他のクラブにも働きかけて活動を広めていくことだってできると思う。

まとめ:地域・社会への広がりのために

(神村):これまで関わってきたからこそ分かってきたんだけど、スポーツ × 社会貢献活動って、まだまだ可能性があるし、今後より多くの人に考えてもらう機会を増やしたいと思っています。
(小出):そうですね!それこそ競技の垣根を超えて、他のチームと連携したらもっと面白くなると思います。先日、トレーニングセッションを河川敷で実施した時も、偶然同じ河川敷でゴルフをしていた団体がいたのですが、よく見たら若い人たちとご年配の方が一緒にゴルフを楽しんでいたんです。コロナ禍を経て人同士が交わる機会が減ってきましたが、徐々に交流できる機会が増えてきたと感じます。
(神村):世代を超えてゴルフかぁ!楽しそう!!
(小出):ぜひ機会があれば一緒にやりましょう!(笑) それでは神村さん、今回もありがとうございました。

(文責:神田


 

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