アフターコロナの日常について考える〜個人の自由と組織論〜【後編】
(ぜひ、前編を読んでからお読みください!
⇨https://note.com/m_kamimura/n/n1e330e15588c)
この1年で生じた「身の回りの行動様式・生活の変化」
【満員の通勤電車について】
(神村):ここまでの議論を踏まえて、アフターコロナの社会を考えていきたいと思います。まず、個人的には満員の通勤電車には二度と乗りたくありません…(苦笑)これはコロナ以前から思っていたことです。よく今まで我慢していたとすら思えます。
(神田):僕も全く同感です。笑
(神村):あくまでも満員電車は一例に過ぎないけど、時間や場所に縛られない働き方は、リモートの有無に関わらずコロナが終わっても残る部分だと予想しています。
【怠惰への恐怖と自律を課すことのしんどさ】
(神村):一方で、個人の選択・自由に委ねられると、私はいつしか自分が「怠惰」になるのではないかという恐怖や、日々の業務・生活において「自律」を課すことへのしんどさを覚えます。神田君もそう感じることはある?
(神田):あります。例えば、去年コロナがはやり始めたとき(1回目の緊急事態宣言下)、会社が全面的にリモートになって、それこそ満員電車に乗らず朝もゆっくり寝られるって喜んでました。
(神村):それ、学生と一緒だね笑
(神田):はい笑。ただ、段々と自分の生活自体が怠惰になっていることに気づいて、「このままじゃマズイ」と感じるようになってきました。思えば、通勤していた頃も電車に乗っている時間を読書にあてたりしていました。その習慣がなくなってしまったことに対する危機感を覚えました。
(神村):なるほどね。そこから何か具体的なアクションは起こした?
(神田):カレンダーに「自己研鑽」という予定を組んで、それを社内の人にも公開するようにしました。具体的には、通勤時間だった毎朝8:00~9:00を語学学習や読書に充てると決めています。こうすることで、コロナ前と同じリズムで仕事に入ることができるようになりました。
(神村):神田君は、ストイックというか、まじめだな・・・・笑
でも、それは効果がありそうだし、文字通り「自分に課す」という意味での「自律」が体現できてるね。
(神田):始めてみたら意外と効果的でした。やはり一人で何かを続けるためには相当の覚悟がないと難しいですし、決意はできても長続きしないと思います。僕は、社内の人に「朝は読書する」と公開(≒宣言)することで、学び続けるための仕組みづくりをすることを意識しました。
(神村):一人でやっていると、自分の努力値がどれほどなのかを客観的に知ることも難しいですよね。自分で頑張っているつもりでも、周りの仲間や同僚がもっと頑張ってたら、自然に「もっと頑張ろう」という気持ちになりますよね。でも、周りに人がいないからなかなかそれを感じにくいし、自己研鑽の時間も、段々しんどいって感じてくることはない?
(神田):僕は「読書」や「語学」を通じて学ぶことが結構好きなので、あまり辛いとは思わないですが、学ぶ内容によっては辛い・苦しいと感じることもあると思います。
(神村):「自律」ということを意識し過ぎるが故に、”辛い”という感情を押し殺してしまったり、一人で抱え込んだりすると、心の病などにも繋がっていくような気がします。人と接し、人の中にいることで心の安定感や行動を維持できることの楽さ、充足感もあると思うんですね。
(神田):仰る通りで、今の自分の取り組みをより良くするという点では、たとえば「自己研鑽」というインプットの時間だけでなく、その学びを誰かに共有したり発表(=アウトプット)する機会を設けることが大事だと思っています。
【社員同士の交流が減っている現状】
(神村):そうだね。あとは会社にいても「なんか最近あいつ元気ないなぁ」とか、普段から会っていれば気付くようなことも、リモートだと中々気付けないんですよね。悩んでいる同僚や部下に対して、声を掛けてあげたり、気配り・優しさといった人間に本来備わっている能力が、徐々に失われていくんじゃないかという懸念もあります。
(神田):もし失われたらと思うと少し怖いですね。。人間らしさを失う気がします。
(神村):たとえば、会社で人が辞めるといった場合に、その人が「数か月前から体調が悪くて…」という話をそこで初めて打ち明けてくれたとします。以前であれば、体調が悪そうというのを表情や声のトーンなどからも読み取れたかもしれない。体調を崩す前に、ガス抜きなどをして未然に防ぐことができたかもしれないと考えると、組織の在り方そのものが変わってくるような気がします。
(神田):そうですね。今の事象ばかりにとらわれるのではなく、何年後かに顕在化し得る問題を今のうちから見据えておくことや考えておくことは重要ですよね。
(神村):たとえ今、ジャッジを下すことが難しい場合でも、先々のことを見据えておくことは経営・組織という点でも非常に大事です。
【マスク着用の是非】
(神村):最後に聞いておきたいんだけど、今後ワクチン接種が進んで、「マスクを外していいよ」と言われたら、神田君は躊躇なく外す?
(神田):タイミングが難しいですが、僕は外すと思います。
(神村):僕も外すかなぁ。一方で、混雑している(3密状態の場所)には躊躇なく行ける?
(神田):混雑している場所は、コロナ関係なく嫌ですね(苦笑)唯一、スポーツのスタジアムやアリーナは例外で、満員の会場で歓声をあげて盛り上がる風景が大好きなので、いちスポーツファンとしては一刻も早く戻って欲しい気持ちです。
(神村):本当だね。ただ、これがまた不思議で、密状態であることは同じなのに「満員電車は嫌」だけど「スタジアムはOK」って感じるんだからね。まさに、個人の自由や選択と集団のリスクの兼ね合いが難しいと思っていることなんだよね。
まとめ:正解がない問こそ、自分なりの見解を持とう
(神村):今回のように、正解のないテーマをあえて議論をすることは、時に自分なりの考えを深める上で大切ですし、役立ちます。今回はコロナという外的要因がもたらした社会的価値観の変化などについて語りましたが、他にも正解の無い議論はまだまだ沢山あります。是非、読者の皆さんも日頃から自ら問を立て、自分なりの見解を持つことを習慣化してみてください。思考力が一段と深まると思います。
(神田):僕自身、神村さんと様々なテーマでお話する度に、新たな気づきがあるので、いつも本当に楽しみです!次回もよろしくお願いします。
(神村):また是非、他のテーマでも語り合っていきましょう。ありがとうございました。
(文責:神田)