僕らの本棚(2)~2024年のベスト:人文・教養編~(ぜひ読んで欲しい4冊)
⓪時間をかけて読む人文・教養書
最近はタイパ良く本を読む、本を読むよりYouTubeで情報収集した方が効率がいいというような風潮が一般的になってきました。
おそらく、その通りなんだと思います。
特に、知識・ノウハウ・スキル系の本はYouTubeの解説動画で全然OKかもしれません。(僕はしませんけれど・・・・)
しかしながら、時間をかけて(仮に悪戦苦闘したとしても)読むことに価値のあるジャンルがあると思っています。
その一つが「人文・教養」です。
この本を読んだからと言って、何かすぐに仕事に役立つことはないかもしれませんが、薬で言うと漢方薬のようなものでじわじわと効いてくるような気がします。
今回は、今年読んだ「人文・教養」関連の中でも価値ある・お薦めの4冊を紹介したいと思います。
①考えながら読む、だから時間がかかる
『知性の正しい導き方』
今年読んだ本の中でもっとも難解だったのが『知性の正しい導き方』でした。(stand.fmで5月27・29・31の3回に分けて放送していますので、ぜひ一度聞いてみてください。
読了までに1ヶ月かけてもいいから読んでみる価値があります。
『目的への抵抗』
多くの大学生協でベストセラーとなっている(と言われている)1冊です。
著者の前作『暇と退屈の倫理学』よりは親しみやすく、かつ内容もコロナ禍によって初めて考えさせられた「答え・正解のない問」の議論として非常に興味深く読みました。
②社会・世界を知る
日常で見聞するニュースにはすべて背景があります。
何が起きているかも重要ですが、どうしてそうなっているのかを自分の頭で考えられるようになっていたいと常々思っています。
自分の知らなかった世界に少しずつ足を踏み入れる、恐る恐ると言った感覚も読書の楽しみの一つなのかもしれません。
『安楽死が合法の国で起こっていること』
今年読んだ本の中で、最も衝撃を覚えた1冊と言えば迷わずこれをあげます。そもそも、安楽死・尊厳死・死ぬ権利などについてあまりにも無知であったことを知りました。そして、世界各国で今起きていることについて客観的な事実として記されていることで、感情的にならずに冷静に「自分で考える」きっかけを与えてくれたと言えます。
(stand.fm6月3・5・7放送)
『イスラエルの起源』と『ガザとは何か』
いまだに終わる気配のないイスラエルのガザ侵攻。
それ以前にロシアとウクライナも一体どこまで行くのでしょうか?
国の指導者たちは「国民の死」を積み重ねている現実を見ながらも、それぞれの立場を主張し続けています。
そして、私たち日本人はテレビやニュースの報道を見ながら「どっちが悪い・可哀そうだ」と傍観し続けています。
一般的には、悪者はロシア・イスラエル、そして犠牲者はウクライナでありガザ。
そう報道されているから、私たちは歴史・宗教・民族などを知ることなく「プーチンやネタニヤフは極悪非道人間だ」と思っています。(思わざるを得ないと言っていいかもしれません。)
でも、本当にそうなんでしょうか?
それは自分の意見なのでしょうか?
自分の頭で考えること、判断するための基礎知識を少し時間を取って調べてみることも、今の私たちにとって必要なことではないかと思うのですがいかがでしょうか。その上で、上記のような判断・見解を持つことはとても大事な姿勢だと思うのです。
あまりに知らないことが多すぎて、何が正しいのか間違っているのかの判断がどんどんできなくなってきているような気がします。
知識を得ようとしてもそれが本当のニュースなのか、正しい情報なのかということにすら疑問符がつく時代です。
だからこそ、時間がかかってもいいから自分でゆっくり考える習慣を失いたくないと思っています。
できるだけビジネス関連以外の本に多く触れながら、自身の判断力を養えたらいいなと思っています。
2025年も、歴史・古典・文化を含めて「このジャンル・このジャンル」を紹介していきたいと思います。