ちょっと待って!その「診察券」捨てない方がいいかも!
こんにちは。
メタップスでre:shineと人事労務を担当しているイケダ(@m_ike)です。
今回は障害年金についてのお話です。
健康に不安を感じないうちに自分が障害年金を受給するということは、なかなか想像できないかもしれません。しかし、少しのポイントで備えられることがあります。
障害年金をもらう時のために、今から備えられることは?
受給の為には、どんな情報が必要か?
障害年金をもらうような状態になる理由として考えられるのは
事故等、突発的な理由により障がい者になった
糖尿病等の生活習慣病やメンタル不全の他、病気により障がい者になった
1 は事故に遭った日等、初診日や障害認定日がはっきりしています。
一方 2 では長期間通院し治療をしていることが多く、その間に転院をしていたり、症状が改善して通院を止めてしまったけれど完治はしていなくて、その後悪化・通院を再開、初診日がすぐにはわからないケースがあります。
障害年金の申請時に初診日の確認が入りますが、病院のカルテ(診療録)の保存期間は5年で、初診から5年以上経過してしまっている場合は証明できないというケースが出てきます。
しかし、どうにかして初診日を確認して申請しないと、障害年金を受給することはできません……。
申請でポイントになったのは?
具体的な内容でないとわかりづらいかと思いますので、私が個人的に関わったAさんを例にお話します。
Aさんは 糖尿病が原因で足を切断したため働くことが難しくなり、障害年金の申請をすることにしました。まず必要になるのが初診日の確定です。
Aさんは、22年前の健康診断で糖尿病と指摘され受診。そこから通院の中断、再開、離職、転居等があり、計10ヶ所の病院で通院歴があることが確認できました。
最初に通った病院に問い合わせましたが、やはりすでにカルテは無いとのこと。2ヶ所目の病院でも無く……やっと6ヶ所目の病院で証明書を書いてもらえるということになりました。(※この1ヶ所目〜5ヶ所目までの病院についても「いつ、どのように確認して、なぜ発行できないか?」ということを書類に記載する必要がありますので、メモしておきましょう📝)
しかしながら、この6ヶ所目の病院の証明書では、初診日の確定には至りません。(当然といえば当然ですが……。)
困り果てて年金事務所に相談したところ「Aさんが通院していたことを覚えている同僚や友人、知人(原則2名以上、親族は不可)に書類を書いてもらえれば、初診日の確定が行える」とのアドバイスをもらいました。
当時、Aさんが勤務していた会社関係者に連絡を取り、そのことを覚えていた方に書類を書いていただくことによって、22年前の初診日の確定を受けることができました。
これに加えて、最初の通院から申請に至るまでの経緯どんな症状で・いつ・どの病院に行ったか・なぜこの期間は通院しなかったか等を病歴・就労状況等申立書に記載する必要があります。
ここで役に立ったのが病院の診察券でした。どの期間、どの病院に通院していたかを特定できたのです。
行かなくなった病院の診察券や、昔の健康診断結果を取っている方は少ないかもしれませんが、写真やPDFでも構いませんので、保存しておくと後々役に立つことがあります。
特に健康診断で要検査や要治療になった際、その健康診断結果はぜひ保存しておくことをおすすめします。通院された際の診断書もお忘れなく。
どこに相談すればいいの?
申請手続きや受給資格があるかどうか(最終判定は申請後)、受給金額の見込額等は年金事務所で相談することができます。
もしご本人が窓口に行けない場合は、代理で手続きすることも可能です。
その場合は、委任状や相談者の免許証等の身分証明書が必要になりますので、事前に電話等で確認すると二度手間にならずに済みます。
Aさんのように長い通院・治療歴がある方は、遡って書類を揃えなければなりませんので、社労士に相談するのも一つの手です。
Aさんの場合は、書類準備に1ヶ月半、申請から支給の可否まで約2ヶ月、決定から支給まで2ヶ月と時間がかかりました。
ご自身やご家族のみなさんが直接申請を行おうとすると、大変なタイミングであることに加えて、準備の労力やかかる時間の長さから心が折れてしまう可能性があります。費用がかかったとしても、社労士の方にお願いしてしまう方が結果として良い可能性も高いです。
仮に社労士に依頼する際にもヒントとなる情報は多いほうが良いので、健康診断結果、診察券、診断書、病院の領収書等も保存しておくことをおすすめすます。
加入している年金が国民年金と厚生年金では受給額にどの位の差があるの?
障害年金の受給額は初診日に加入していたのが国民年金なのか?厚生年金なのか?で異なります。
国民年金の場合(障害基礎年金)
厚生年金の場合(障害基礎年金+障害厚生年金)
※ 身体障害者等級と障害年金等級は、必ずしも一致しないのでご注意を
例えば……
・22歳から働き始めて1年目の年収320万円
・毎年10万円ずつ年収が増えていったと仮定し
・40歳で年収500万円の扶養家族のいない方が障害年金2級を受け取る
繰り返しになりますが初診日に加入していたのが国民年金なのか?厚生年金なのか?で受給額に差が出るため、これから独立を計画されている方は、ぜひ会社を辞める前に健康診断を受け、必要な治療があれば受診を開始していただいた方が良いかなと思います。
働くことを考えるとき
障害年金を受け取ることになっても、原則、年金をもらいながら、働いて報酬を得ることができます。
フリーランスとして働く場合も、申告の際に障害者控除(27万円)を差引けますし、条件を満たせば個人事業税の減免が受けられます。
また、住宅の改修工事や用具の購入等が必要な時は、お住いの自治体から助成金を受けられる場合があります、事前申請が必要ですので相談をしてみてください。
障害年金の受給が決まった時、Aさんは「オレ、生きてていいんだ」と言いました。収入がなくなり、また医療費の負担も大きく、これからの生活に不安を感じていたのだと思います。今、Aさんの障害年金は遺族年金に形を変えて、私たち家族の生活を支えてくれています。
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