予告映像だけでは、その映画の本質は見えない
映画が趣味です。
「趣味と呼べるほど観ているかどうか」問題は拭えませんが、
自分の好みの傾向がそれなりに分かってきた程度には観てきました。
どのような映画が好きかというと、作中に「謎」が散りばめられ、
ハラハラするストーリーの中で、視聴者にその謎解きをさせ、
可能であれば最後にその予想を裏切るものが好きだと分かってきました。
ジャンルでいえば「サスペンス」「ミステリー」がそれに当たりやすいかもしれません。
かと言って、その他のジャンルを見ないかというと、そういうわけではなく、どこかの要素に「謎」があり、それが最終的にすっきりと解明されれば、ストーリーが恋愛だろうと、SFだろうと、ホラーだろうと構わないようです。
ホラー?スリラー?サスペンス?
先日、「クワイエット・プレイス」という映画を観ました。
ホラーの定義とはなんなのか。
この映画は、そんな本質を考えさせられる映画でした。
いつかTVか何かで予告を見て、
「音を立てたら“何物か”に殺される」という
その設定だけでかなりの興味をそそられました。
この時のボクの興味はその「何物か」が何なのかという部分にありました。
映画などのコンテンツのジャンルの定義は各々違うと思いますが、ボクが一番ピンとくるものはこう。
「謎」が主題であればミステリー
「恐怖」が主題であればホラー
「緊張感」を主題とし、「謎」に重きを置いているものがサスペンス
「緊張感」を主題とし、「恐怖」に重きを置いているものがスリラー
これで言えば、ボクは「サスペンス好き」ということになります。
では、この映画は一体なんだったのか。
予告を見る限り、
正体不明の何物かに殺される「恐怖」
音をたててはいけないという「緊張感」
"何物"が何なのかという「謎」
予告映像や音響効果を見ると「ホラー」か「スリラー」ですが、
恐怖を全面に出しているわけではなく、
音をたてることができないという「緊張感」の方が強いため、どちらかというと「スリラー」と言えるかもしれません。
いや、でも「正体不明の何か」という謎も残っています。
本編を見るまではそう思っていました。
ホラーでもスリラーでもサスペンスでもなかった
鑑賞後すぐに謎は解けました。
正体不明の何かは「バイオハザードに出てきそうな怪物」でした。
いや、確かに予告で大きな爪痕もあったし、
そもそも「音をたてたら即死」なんて、人間ではない何かじゃないと
成り立たないんですが、
割とすぐに判明しました。
バイオハザードに出てきそうな怪物は、
視覚ではなく聴覚によって獲物=人間の位置を把握しているやべえやつ。
これも割とすぐに判明しました。
全編通して、一貫していたのは
その怪物から「どのようにして生き残るか」です。
音をたてずに会話する方法、つまり手話や、音をたてずに歩く工夫。
緊急時に音をたてずに報せる方法など。
つまり、この映画は表面上はホラーやスリラーと言えるのですが、
結局のところ「サバイバル映画」なのです。
こうなると話は別。謎なんてどうでも良いんです。
映画の終わり方がまさにそれを物語っていて、
「生き残るわよ!」的な母親のドヤ顔で幕は閉じられます。
これからゾンビ無双する勢いのドヤ顔です。
結局、その怪物が何物なのかは最後まで語られませんでした。
ただ、この映画はこれで良いんです。
もしも、この怪物が生まれた(現れた)背景や、
対策を講じる国の様子など、外部の様子が描かれていたら、
それこそB級パニック映画になっていたことでしょう。
そんな背景は一切排除して、
一つの家族に焦点を絞り、サバイバルさせることに注力した
監督は称賛せざるを得ません。
ただ、あの環境下で妊娠・出産させる設定は鬼畜としかいいようがないので、監督もやべえやつかもしれません。
今日はこれくらい!