訪問診療 開業支援日記vol.1
まずは、往診から始めてみませんか?
外来メインで開業している先生が訪問診療を本格的に始める前に、往診で雰囲気を掴んでみるのも良いと思います。調子が悪いから往診で診に来て欲しいという依頼があれば、まず患者宅を訪問することを計画していきましょう。まずは、その準備を考えてみます。
(1)持参物品
・血圧計/パルスオキシメーター/非接触型体温計
・聴診器/ペンライト/定規
・バインダー(メモ/記録用)
・スマホ/タブレット(メモ/画像記録用)
・手袋/アルコール綿などの衛生用品
・処方箋(あらかじめ印字したもの)
これらの荷物をまとめるカバンも必要です。昔の先生たちは往診バッグといった革の分厚い鞄を持ち歩いていましたが、今はビジネスリュックが便利です。リュックを背負って聴診器をぶら下げて行ってみましょう!
(2)移動手段
先生の所有する車は大抵訪問には適していません。大型車や高級車で訪問に行くのは、何かと印象が悪い気がします。軽自動車は便利でよく使用されていますが、山道などでは馬力不足で以外と大変です。私のお勧めは、『トールワゴン/コンパクトカー』です!後部はスライドドアで開けやすく、思った以上に荷物が乗ること、小回りも聞いて運転しやすいです。新車でもよいですが、中古車でも十分だと思います。私は補助金などを利用して新車を購入したことがありますが、途中から買い増ししている車は中古一択です。
(3)帯同スタッフの有無
往診程度であれば、一人で十分です。人数にもよりますが、2~3人程度であれば、バイタル測定にもそんなに時間を取られないと思います。限られた時間で沢山の人数を診察する必要がある場合は、看護師1名の帯同が必要です。バイタルを測定してもらいながら、先生は家族や本人と話したりできるので、有効的な時間活用が可能です。ちなみに、施設訪問時には施設の方にお願いしてバイタル測定してもらっています。
(4)カルテ記載の注意点
往診が終わって帰ってきたら、その日のうちにカルテ記載をしましょう。ここで注意すべきは、カルテの記載内容です。最近は電子カルテを導入しているクリニックが多くなっていると思うので、列挙した記載必須項目をテンプレートにしてしまうのをお勧めします。厚生局の監査でも指摘されたポイントも含めています。
①往診の理由:本人や家族からどのような理由で往診の依頼が来たかを記載する必要があります。(監査時に指摘あり)
例:今朝から38℃の発熱があり、解熱薬を内服しても症状改善ない。夫からクリニックへ往診依頼の電話連絡あり、患家を訪問した。
②訪問の時間:「何時何分~何時何分」と訪問した時間を記載してください。(監査時に指摘あり)
③場所:自宅や施設など、どこに往診したかの記載も監査で突っ込まれるポイントです。(監査時に指摘あり)
④バイタル:全てのデータを記載します。時にSpO2とか感知できないこともあるので、その際には測定できなかった旨を記載しています。
⑤診察内容:これは当然の記載ですね。
監査で指摘された所は、予想外なものばかりで、正直驚きました。以上、簡単ですが、カルテ記載の要点を解説しました。他にも記載したほうが良いという項目があれば、是非コメントにお願いします。
まだ他にもポイントはありますが、まずは『往診』してみて在宅医療の雰囲気を味わってみてください。クリニックの外での診察は、新鮮味のある診療になると思います。
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