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SNSでのふるまい方


1.はじめに

注釈:上記の2つのポストをこのnoteに掲載するにあたり、発信者の許可を得ております。

上記のポストは、X(旧Twitter)を含めたSNSにおいても本質的な話だと思っており、プラットフォームのアクティブユーザーの多寡は問わないと思います。例えば、X(旧Twitter)以外でも、他のSNS(Mastodon、Misskey、Threads、Bluesky他)でも通用する話だと思っています(なお、例示したプラットフォームは、私がnote投稿時に情報を広めるため利用しているプラットフォームです)。本noteではSNSに絞った内容ですが、それ以外(例えば、この記事を掲載しているnoteも含まれます)でも通用すると思います。

2.SNSの特徴

「フォロワーの数は自分に向けられた銃口の数」という言葉をいつ、だれがポストしたかは覚えていませんが(X(旧Twitter)上だったと思います)、気に入っている言葉です。
X(旧Twitter)では、個人の感触ですが、話題に関しては、好きなものについて話すより、嫌いな事だけを話す方が衆目は集めやすい(≒インプレッション数を稼ぎやすい)と思います。また、攻撃的、嘲笑的な態度でいた方が同様に衆目は集めやすいと思います、ただ、プラスになるのはそれだけだと思います。逆に、状況によっては、"自分に向けられた銃口"が自分に対して一斉に火を噴き、攻撃的なポストが集中したりして自分が炎上の対象になる事態が発生することまで考えられるため、SNSを利用するのであれば、それくらいの腹積もりでいた方が良いと思います(ただし、ネット炎上の研究に関する書籍を読む限りでは、その方法で全てのアカウントを思いとどまらせることは不可能だと思います。その時のために通報や情報開示という手段が必要だと思います)。また、Xは炎上と共に延焼もしやすい所だとも思っており、他人を燃やすと、その炎で自分も火だるまになるリスクがある場所だとも思っています。あるいは、自分自身の過去のポストが発掘されて更なる炎上を招く、といったこともあり得ると思います。総合的に考えると、この項で最初に挙げたような態度を取ることは、トータルではマイナスになると思います。
逆に好きなことをつぶやいていると、(言い方にもよりますが)基本的に炎上はしないと思います(ただし、X(旧Twitter)で好きなことを語るのは少々文章の量が短いので、私の場合は主にnoteで語り、その記事のURLを掲載する形を取っています)。

3.二重過程理論とSNS

二重過程説(Double Process Theory)は、ヒトの認知や行動は大きく分けて二つのシステム(プロセス)から形成されるという理論である。
システム1は無意識的で自動的、迅速で直感的に働く。これに対してシステム2は、意識的に成業され、処理が遅く、熟慮的に働く。
(中略)
今日ではシステム1が持つ脆弱性は広く知られており、これを敢えて突くトリックに対しては無防備である。
(中略)
システム1は、それが培われた長い旧石器時代の環境に適応的だったと考えられる。しかし我々が生きている環境は、それと異なっている。これが汎用だがのろまで大食らいのシステム2を我々が使わなくてはならない理由である。

『独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』 序文 学ぶことをあきらめられなかったすべての人へ "二重過程説(Double Process Theory)"より。
なお、"独学大全"では、"二重過程説"と書かれていますが、Wikipediaでは"二重過程理論"となっていたのでこちらにあわせました。

プロジェクトは承認され、期待と興奮の中で工事が始まる。
(中略)
さらに進捗が遅れる。プロジェクトはズルズルと長引く――。私はこのパターンを「すばやく考え、ゆっくり動く」と名づけた。

『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』 序章”夢のカリフォルニア”――ビッグアイデアの生死の境目 "心理と権力――ビッグアイデアの成否の要因" より なお、太字強調は書籍のものです。

エンパイア・ステート・ビルのようなパターンを、私は「ゆっくり考え、すばやく動く」と名づけた。
本書のはじめに「ビジョンを計画に落とし込み、首尾よく出現させるにはどうすればいいのだろう?」と問いかけた。これから見ていくように、「ゆっくり考え、すばやく動く」が、その答えになる

『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』 序章”夢のカリフォルニア”――ビッグアイデアの生死の境目 "始まる前から「完成」していた" より なお、太字強調は書籍のものです。

現在心理学の基本的知見の一つに、迅速で直感的な「瞬間的判断」が、人間の意思決定における標準(デフォルト)の情報処理システムだという考えがある。心理学者のキース・スタノヴィッチとリチャード・ウエストは、これを「システム1」と名づけた。
これに対し、意識的な推論を行うのは、「システム2」という別のシステムだ。システム1と2の主な違いは、スピードにある。システム1の方が早いから、どんなときも先に情報を処理する、システム2は遅く、システム1の後でしか起動しない。
(中略)
だが現在心理学のもう1つの基本的知見として、私たちはいったん直感的に「こうだ」と思い込むと、その判断をゆっくり慎重に徹底して吟味することはほとんどない。何であれ、システム1が下した判断を迷わず自動的に受け入れてしまうのだ。

『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』 2章 本当にそれでいい? "わかっていても「直感」を信じたくなる" より なお、太字強調は書籍のものです。

上記の引用はいずれも現在読んでいる本から引用したものですが、この引用部分は今回取り上げる話題と共通すると考えています。引用した部分のうち、X(旧Twitter)で炎上が起きる原因の一つに、"システム1が持つ脆弱性"(あるいは、"迅速で直感的な「瞬間的判断」")があるのではないか?と考えています。
何らかの情報に触れた際に、システム1に従って発信することはかなりのリスクがあると思っています。人間の"直感"はシステム1に由来したものだと思いますが、個人的にその直感はあてにならないと思います。後から自分の直感について深く考えてみると、正しかったこともある一方で、その直感に対する反証が出てきて、最終的に正しくないという結論に至るケースもあります。

直感があてにならなかった例として、能登半島地震対応の予備費の額に関するものがあります。

参考 能登半島地震対応の予備費40億円が「少なすぎる」はミスリード。災害時の予算措置について考える

なお、上記の件は私自身は、「額に関しては、過去の類例と比較しないと多いか少ないかは判断できないので、判断は留保する」でした。「少ない」とポストしたアカウントを見た気がするのですが、"調べたうえで「少ない」とポストしているのかな?"とその時は思いました。
上記ような事例が発生した場合、発信した内容が的外れであれば、投稿した本人にマイナスになると思います。SNSで何を投稿するかはアカウントを所持する個人の自由ですが、"この投稿を見た人が自分に対してどのような印象を抱くか?"という所まで考えておいた方が良いと思います。上記の予備費の件に関しても、「少なすぎる」とポストをされる方は「感情的にわめき散らす人」、「直感だけで何も調べずに書く人」、「立場上、X(旧Twitter)で殴り返せない相手をサンドバッグのように一方的に殴る(攻撃する)人」という印象を持たれる危険があると思います(少なくとも、肯定的な印象より否定的な印象を持たれる可能性が高いと思われます)。
そして、SNSは、発信のしやすさ故にシステム1との相性が良いと感じます。システム1とSNSの組み合わせで発生しうる現象として、"何らかの情報を見た際に、システム1に突き動かされた内容を発信する"という事象が発生します。上記の例以外だと、"自分の好きなものをこき下ろす投稿に反射的に言い返した"、"攻撃的な投稿に対し、「売り言葉に買い言葉」で言い返した"といった事例が考えられます。これが危険なのが、ストッパーが存在しないことです。SNSなどでストッパーに相当する仕組みが存在しなければ、頼りになるのは本人のシステム2のみですが、システム1と比較して処理が遅いためシステム2がストッパーとして機能する前に発信するケースが想定されます。
また、X(旧Twitter)にはトレンド欄があります、トレンド欄に掲載されている言葉に関係するポストは個人的な体感だとインプレッション数が大きくなるように感じます。これも危険な仕組みで、「トレンドに関するポストをしなければ!」という焦りから、システム2がストッパーとして機能する前にポストする行為を助長する方向に働くと思います。

4.SNSでの発信で個人的に注意していること

ここでは私個人がSNS(主にX(旧Twitter))で気を付けていることについての内容です。
なお、こちらの記事のサムネイル画像ですが、noteの「みんなのフォトギャラリー」から、気を付けていることをイメージした画像を選択しました。

4-1.投稿する際には意識的に感情に抑制をかける

上記で引用した本を読んだのは最近ですが、私個人の経験則として、"X(旧Twitter)を含めたSNSでは感情を抑制して行動する"ということは意識して行っています(これは、X(旧Twitter)でアカウントを作成していた時から決めていたことです)。先ほどの引用に出てきた"システム1"と"システム2"という単語を使うのであれば、"システム1とシステム2の反応速度の差を考え、意識的にシステム2でストッパーをかける"と言い換えても良いと思います。速度が犠牲になりますが、速度を犠牲にして困る局面がそうないと思いますし(強いて挙げるであれば、「大きな地震が発生し、実際に大きな揺れを体感している」や「自分のいる建物で火災が発生した」という即座の判断が生死に直結するような状況が考えられますが、そのような状況下ではSNSの利用より自らの命を守る方が優先される事態なので、そもそもSNSを利用している場合ではないと想定されます。一方で、「大きな地震が発生したが、震源地から離れていて当面は生死に直結しない一方で、SNSを通じて地震に関する情報が流れてくる」や「街を歩いていると、火災が発生した建物に遭遇した」いった場合、システム1よりシステム2の判断を優先させるべきだと思います)、システム1に従うと、デマ情報を拡散する危険があるので、システム2に従い、「これは正しい情報か?」という観点で情報を精査する必要があると考えます。
炎上を例に挙げると、炎上が発生した場合「炎上を煽る」「炎上を抑える」「無視する」の選択肢が考えられますが、「炎上を煽る」はしないようにしています(状況が分からない中だと、「無視する」が安全ですが、状況が分かるようであれば、「炎上を抑える」ように意識をしています)。普段からSNSで炎上を見た際に、どのような態度をとるかを決めておくと、咄嗟の判断が求められる時に対応しやすいです(そして、SNSにおいて、咄嗟の判断が求められる時は結構多いというのが私個人の見解です。これは発想としては、故障時や異常発生時に安全側に動作させるフェイルセーフの発想を応用したものです。また、企業の経営管理手法として、「リスクマネジメント」という言葉がありますが、発想は近いと思います。少なくとも企業においてリスクマネジメントに携わる方であれば、私の考え方については一定の理解は得られると思います)。

4-2.不用意な発言(投稿)をしないように気をつける


「不用意な発言(投稿)」の範囲が広くて曖昧なので、具体的に列挙することは難しいですが、先ほど例示した、"自分の好きなものをこき下ろす投稿に反射的に言い返した"の中で、"何かをこき下ろす"(人でも作品でも構いません)というのは典型的な"不用意な発言(投稿)"の例だと思います。他に人のやり方を否定するかのような投稿も同様だと思います(上記で好きなことをつぶやいていると、基本的に炎上はしないと書きましたが、「好きなものを持ち上げるために他を下げる」やり方は不用意な発言(投稿)に該当するので炎上を招くと思います。そもそも、自分の好きなものを持ち上げるのに、他を下げる必要性は全くありません)。そのような投稿は、SNSにおいては、基本的に敵を増やす(≒炎上の火種になる)方向に働くと思いますし、敵にならなくとも投稿を見ている人から"この人と距離を置いた方がいいな…"と判断を下される可能性があります。この辺りは、SNSだけでなく、仕事仲間や友人との会話などでも気を付けた方が良い部分と重なる部分もあるので、応用はきくと思います(普段の振る舞いで敵を増やすような言動をされる方で、SNSでも変わらない場合、本人が気が付かないうちに敵が増えて、炎上で自分が燃やされるパターンはあり得ると思います。
不用意な発言(投稿)をしないことのメリットですが、他アカウントに対し安心と信頼を提供できることだと思います。大したことではないように見えますが、攻撃的な言動をされるアカウントが自分をフォローしている場合、その攻撃的な言動が自分に来る可能性が考えられます。特定のアカウントが攻撃的な言動を取っていることを知っていれば、フォロー解除などの対策ができますが、気が付かないと自分が炎上の対象になる危険性があります。また、今回のnoteで私以外のポストを掲載し、その際に許諾を得ていますが、そのような許諾も得やすくなります。SNSにおいて他者に対して許諾を与える際に、他者の言動について参考にするのは、普段のSNS上での振る舞いだと考えられます。例えば、私が同じように許諾を求められた場合、直近のX(旧Twitter)のタイムラインを確認して、炎上を煽ったり、他人を罵倒したり、フェイクニュース拡散に加担しているような方だと分かった場合、許可は出しにくいと感じます(どのような文脈で使われるか分からず、自分が全く知らない赤の他人に対する攻撃材料として使われるリスクまで考えないといけないからです)。私のアカウントでは、意図してそのようなポストもしませんし、タイムラインに触れないようにしているので、私に許諾を与えるても、炎上に巻き込まれるリスクは低いと見積もることができるのではないかと考えられます(少なくとも、私自身が許諾を与える立場であれば許可は出すと思います)。

5.謝辞

本noteを執筆するにあたり、ご自身のポストの利用を許諾いただきましたiwamah氏、並びにTHE GUILDの深津貴之氏のご両名にはこの場を借りて感謝いたします。

iwamah氏のnote

深津 貴之氏のnote

6.参考

6-1.参考文献

独学大全――絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 Kindle版

BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか? Kindle版

6-2.参考項目

二重過程理論

6-3.参考note

情報の精度について


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