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同じ標準化パワー(NP)で速く走る為に基本となる2つの法則

下記2つの記事で疲労予算TSSから目標パワーNPを導き出す方法を説明しました。同じ疲れ具合で速く走るには、同じ標準化パワーNPで速く走れれば良いことになります。


今回は単独TTで速く走る為に基本となる2つの法則について説明します。

1.一定ペース最速の法則

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平坦10000mをNP180Wで最速に走るにはどうすれば良いか?結論から言うと180Wで一定で走るが最速です。

■解説
表の上段”一定型”が10000mを180W一定で走った場合になります。尚計算はZWIFTベースで行っており、私の身長168cm60kg、ZWIFT TT+32mmCarbonが条件になります。※Zwiftは現実よりも1割弱くらい早い印象

それに対して表の下が”前半抑え型”になります。最初の5000mを160Wで入ったとします。残りの5000mで速度を上げて10000mを180Wの時と同タイムになるように、後半の出力・速度を計算しました。後半の5000mは203.8Wが必要という計算結果です。

この時の平均出力は180.9W、標準化パワーNPは184.8Wと一定ペースの時よりも高くなっています。

勾配一定区間でペース変動があると、同じタイムで一定出力で走った時に比べて標準化パワーNPは必ず増える

もう少し簡単に言い換えると

勾配一定区間では一定出力で走るのが最も効率が良い

1時間でどれだけの距離を走れるかを競う”アワーレコード”という競技があります。室内の自転車競技場で行われるので、風のない平坦区間になります。その為、今回の法則が当てはまり、記録を狙うには如何に出せる限界の一定出力を出し続けれるかが鍵になります。

2.急な登りはタイム短縮のコスパが良いの法則

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上表の左側、基準の列には、各勾配を基準出力180Wで走った時の速度が書かれています。その右側の列に、5%タイムを短縮する場合に必要な出力(W)とその時の時速が書かれています。さらにその右側の列に5%タイムを遅延する場合に必要な出力(W)とその時の時速が書かれています。

5%タイム短縮とは、180Wで60秒かかっていた距離を57秒で走るという意味です。

勾配0%で5%タイム短縮するのに必要な出力は206.8Wです。これが、勾配が上がると共に必要出力は小さくなり、勾配8%で190W出せば5%タイム短縮できます。

登り勾配が急になる程、がんばりに対するタイム短縮のコスパが良い

反対に下り勾配が急になるに従って、5%タイム短縮の為に必要な出力は増えていき勾配-8%では327.8Wと約1.5倍もの出力が必要になります。

これは、空気抵抗の力が速度の2乗に比例して大きくなって行くためです。勾配-8%では180Wでも72.7km/hもの速度が出ていますが。ここから少し速度を上げるだけでも、大きな力が必要になってくる訳です。

次に5%タイム遅延の場合を見ていきます。5%タイム遅延とは180Wで60秒かかっていた距離を63秒で走るという意味です。

下り勾配が急になるに従って、出力を落とせる幅が広がっていきます。

勾配+8%では-9Wの171Wで5%タイム遅延してまうのに対して、勾配-8%では-116.2Wの63.8Wまで落としてやっと5%タイムが遅くなります。

言い換えると

下り勾配が急になる程休んでもそんなにタイムが落ちない

 2-1.ペーシングにどう活かすか?

タイムトライアルのペーシングを考える場合に、目標NPが180Wなら常に180W一定をベースに考えます。

前述のように、勾配が急になる程がんばりに対するタイム短縮のコスパが良くなります。

反対に下り勾配が急になる程、休んでもタイムが落ちなくなります。

その為、下りで休んだ分の出力を勾配が急な登りに回すことで、NP=疲労を上げる事なくタイム短縮を狙うことができます。

では具体的にどういった配分で変えていったら良いか次回以降に書いていきたいと思います。

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