愛しい毒親

私の両親は毒親だと思っていた。
いや、多分、世間一般的には毒親だったんだろう。
でも、いなくなって初めてわかった。
毒親でもなんでも親ほど愛おしい人はいない。
いや、毒親だからこそ、いてもらわなければ私が生きる意味がない。

子供の頃からずっと辛かった。

なんでもできる姉となんにもできない自分

父は私のことを『夜明けの行燈(あんどん)』って呼んでた。
意味がわからなくて『行燈(あんどん)』を辞書でひいてみた。

それで、多分、
夜明けの行燈は点いてるか点いてないかわからなくて、何の役にも立たないけど油は消費する。
私も居るか居ないかわからなくて、何の役にも立たないけど、ご飯は食べる、っていう意味だと子どもなりに理解した。
何もしなくてもお腹はすいてしまう。

そんなわけで私はいつも父に殴られたり怒鳴られたりしていた。
何にもできなくて不細工な私を父は心から嫌っていた。
こんな私が生まれてきたことを嘆いていた。

母は絶対に私には他人様と同じことはできないって言ってた。
母の言う通り、私は他人様と同じことが出来ない。
結婚もしていない、子どもも産んでいない、仕事もパートで稼ぎが少ない。

そう、私の稼ぎが少ないばかりに十分な親孝行ができなかった。
もっと、色んなところへ連れていってあげればよかった。
もっと、美味しい物を食べさせてあげればよかった。
もっと、綺麗なお洋服を着せてあげればよかった。
もっと、一緒にいてあげればよかった。

美人でなんでもできて、誰からも好かれる姉は豊かで幸せな家庭を築いて貧乏な実家とは縁を切ってしまった。

ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

何にもできない私でごめんなさい。
貧乏なまま死なせてしまってごめんなさい。

あの世でどうぞ恨んでください。
これからの私の人生がろくでもないものでありますように。

辛いことがある度、バチがあたったと思うようにします。
決して幸せになんかなったりしません。
死ぬまであなたたちのことだけを思って生きていきます。

どうか、私を許さないでください。

でもね、せめて夢の中では笑ってください。
幸せそうにしているあなたたちの夢をみたいのです。

いいなと思ったら応援しよう!