北米の株取引ブームを牽引する若者向け投資アプリ
こんにちは、Meg Takanoです。カナダ東部のトロント在住で、日本でUIデザイナーになることを目指して勉強しています。
最近、北米の若者たちの間で株式投資が人気なのをご存知でしょうか?
日本で「株を買っている」なんて話すとギャンブルっぽいイメージを持たれることが多いかもしれませんが、北米では株はギャンブルと言うより必要な投資。むしろ大事な資産を増やすために始める人が多いようです。
そんな若者たちの株式投資ブームを生み出したのがアメリカの株式投資アプリ「Robinhood(ロビンフッド)」。売買しやすいUI、株を購入すると紙吹雪が舞うゲーム性のあるアニメーションなどでZ世代、ミレニアム世代の若者の心をつかみました。
最近ではロビンフッドの人気ぶりを見た他の企業が続々と若者向けの金融投資アプリを開発しだしており、レッドオーシャンになりつつあります。
今回は色々ある投資系アプリの中から、北米で人気を集めているものを3つご紹介します。
1. RobinHood(アメリカ)
まずは昨今の株投資ブームの引き金となった「Robinhood」から紹介します。2015年にサービスを開始して現在はユーザー数は1000万人超。取引手数料・口座維持手数料ともに無料で利用できます。
ユーザーの平均年齢は31歳という点でも間違いなく若者向けの金融アプリで成功したサービスと言えます。
特筆すべきなのは、ゲームのようなUIデザイン。マイクロインタラクションの部分で、ロータリーのように数字が回転したりグラフがぐんぐん上がっているアニメーションを見ると、まるでお金稼ぎのゲームに参加している気分になります。株を購入すると紙吹雪が舞うところなんかはアドレナリンが出そうです。
Robinhoodで株を売買したときのアニメーションが見たい方はこちらのYouTube動画をご覧ください。
動画を見ると分かるかと思いますが、株を購入する場合、購入する株数を入力してスワイプするだけで買付完了しちゃいます。Pokemon GOでモンスターボールを投げるように買えちゃう。恐ろしく簡単。間違えてスワイプしちゃったときが怖そうです。
友達紹介で無料の株を1株もらえるのも、口コミで広まっていた理由の1つだと思います。株初心者からしたら「自分でも知っているAppleやFacebookの株がもらえちゃうの!?」とお得な気分になりますもんね。
最近ではRobinhood内で仮想通貨も買えるみたいです。株の画面と違ってサイバーパンクな画面になっています。
2. Cash App(アメリカ)
Twitter創業者ジャック・ドーシーが手掛ける金融系アプリ。最初はPayPalの進化版のようなモバイル決済がメインのアプリでしたが、昨今の若者の株ブームに合わせて株と仮想通貨を使っての投資もできるようになりました。
投資ページはブランド別に1色で画面を構成しています。Appleは黒、Teslaは赤など。折れ線グラフのカドが若干丸みを帯びているところも他のサイトではなかなか見かけないように思います。こういうところもなんだかオシャレ。
操作性の面だと、ボタンを押すだけで株売買ができる点が簡単そうだと感じました。
一度にたくさんの選択肢を見せると「色々項目が多くて買いにくいな…」と思われてしまいそうですが、CashAppは1項目選んだらNEXTで次の画面に移りるように設計されています。
①いくら買う?
↓
(一度だけの取引? それとも定期的にこの会社の株買っちゃう?)
↓
②あなたの雇用形態を教えてね(学生、会社員など)
↓
③PINコードもしくはTouch IDを入力してね。
↓
④最終確認です! これで大丈夫?
↓
完了
3~4つぐらいの選択なら手間がかかるとは感じにくいし、金銭のやり取りをしていることを考えると個人的にはCash AppのUIは安心して使えるなと感じます。
また、Cash Appで特に目を引くのは斬新でおしゃれなビジュアルデザイン。スタイリッシュで持っていてかっこいいと思えるデザインは若者の気持ちを分かっているな~と感じます。
引用元:https://www.behance.net/gallery/86604187/Cash-App-College
Cash App公式のBehanceから、大学生向けイベントや採用ページのデザインも見れるのでブランディングを勉強している方はチェックすると良いかもしれません。私が初めて見たときは「金融系のサービスでこんなにはっちゃけたデザインしていいんだ……」と驚きました。Tシャツ欲しい。
3. Wealthsimple(カナダ)
私が暮らしているカナダだと、若者向けの株投資アプリで有名なのはWealthsimpleです。管理手数料で0.4~0.5%かかりますが、取引手数料は無料。最低投資額の設定がなく1ドルから株を買えます。
また、日本のiDeCoに似た制度であるカナダのRRSPやTFSA用の口座も1つのアプリでまとめて管理することができます。
デザイン面で特徴的なのは色とイラストレーション。くすんだパステルカラーと立体感のあるイラストレーションを採用しています。先に取り上げた2つのアプリと比べると女性も手に取りやすそうなビジュアルです。上品で美しい。
引用元:https://www.wealthsimple.com/en-ca/magazine/trade-launch
立体的なイラストレーションはアプリ内でも動いたりもします。こういったBlenderで作ったようなイラストやアニメーションはinstagramでも人気だったりするので、最近のトレンドを意識してブランディングを考えたことが伝わってきます。
以下のYoutube動画の2:38~アプリの画面が見れます。
こちらも購入方法が非常にシンプルです。通常口座かRRSP(TFSA)用口座のどちらで購入するか選択後、購入する株数を入力。最終確認をしてOrderボタンを押せば完了です。購入時のパスコードの入力は無いようです。
またWealthsimpleはオウンドメデイアも充実していて、App内から株式投資に関する記事を読むことができます。
またこのメディアが世界観が統一されていて美しいのです……。サムネイルやフォントがキレイで、ジュエリーブランドやコスメブランドと見間違うかのよう。アプリデザインの紹介とは少しズレてしまうのですが、気になる方は下記のURLから覗いてみてください。WEBデザイン視点で見ても勉強になります。
他にもYouTubeやtwitterなどで初心者向けの株に関する情報を発信しています。
まとめ
紹介した投資アプリに共通する点は次の3つです。
・ずっと持ち続けたいと思うビジュアルデザイン
・シンプルですぐアクションが取れるUI
・子供心をくすぐるようなアニメーション
特にビジュアルで他社との違いや魅力をアピールするのは、20代30代の若者に非常に効果的だと思います。グラフィックデザインや服飾・ゲームなどのブランディングに長けている人だとアイデアが出しやすそうなので、新しく金融系アプリを作るときはこうした方たちと一緒に仕事をすると良いかもしれません。
おまけ:その他の投資系アプリ
調べれば調べるほど色んな投資アプリを見つけてしまい、収集がつかなくなってきたので、以下にサービス名とURLをまとめておきます。時間があればまた深堀りして調べてみたいと思います。
・Wealthfront(アメリカ)
カリフォルニア発、ロボアドバイザー型の投資アプリ。
・Questrade(カナダ)
カナダ国内で一番利用者が多い投資サービス。
・Acorn(アメリカ)
クレジットカードや銀行口座と連携させて、端数のお金を投資に回してくれるアプリ。例えばコーヒーを$2.75でカードで支払った場合、$3.00で代金が引き落とされ端数の$0.25を投資用資金に回す、という仕組みのようです。
・Betterment(アメリカ)
Wealthfrontとよく比較されるロボアドバイザー型投資アプリ。