(3)補足:偏相関係数計算シートを作ってみた
偏相関係数を求める計算式
偏相関係数について取り上げている統計法の教科書はそれほど多くありません。放送大学の教科書では、「心理学統計法 ‘21」がはじめてかもしれません。とはいえ、 相関があるように見えても、第三の要因が影響していて、実は何も関連がなかったということもあるから、注意しましょうね! みたいな議論は重要で、他の教科書でも行われています。これを、「偏相関係数」という指標を用いて表そうとしているわけです。
偏相関係数は次の式で求められます。
$$
r_{xy\cdot z}=\frac{r_{xy}-r_{xz}r_{yz}}{\sqrt{1-r_{xz}^2}\sqrt{1-r_{yz}^2}}
$$
はい、添え字がたくさんついていて難しそうな顔をしていますね。確認すると、
$${r_{xy\cdot z}}$$:$${z}$$を統制したときの、$${x}$$と$${y}$$の偏相関係数
$${r_{xy}}$$:$${x}$$と$${y}$$の相関係数
$${r_{xz}}$$:$${x}$$と$${z}$$の相関係数
$${r_{yz}}$$:$${y}$$と$${z}$$の相関係数
通常、相関係数といっているのは、後の3つのほうです。変数が$${x,y,z}$$と3つあるので、組み合わせが3種類できている、という話ですね。最初の偏相関係数だけが、3つの相関係数をもとに計算して求める係数です。
偏相関係数計算シート
計算が面倒なので、相関係数を3つ入れたら偏相関係数が計算できるシートを作ってしまおう! どうせだから、相関係数が変化したら偏相関係数がどう変化するか、可視化してみよう! ということで、作ってみました。記事の最後にファイルをアップしてありますので、ご希望の方は、自己責任でご利用ください。
zとの相関が変化すると偏相関係数はどう変化するか
まず、xyの相関係数を固定して、xz、yzの相関係数を変化させたら、zを統制したxyの偏相関係数がどう変化するかを可視化してみました。
上の白いセルに、xy相関係数を入力すると、下の表が変化するようにしてあります。カーソルが置かれているセルは、xz相関が0.3、yz相関が0.4のとき、zを統制したxy偏相関係数が0.435になることを示しています。計算式の分子だけで近似値を求めると、$${0.5-0.3\times0.4=0.38}$$ なので、それよりやや絶対値が大きくなっていますね。
右下にグレーで塗りつぶされたセルがありますが、計算された偏相関係数の絶対値が1を超えてしまったところです。
背景が白いセルは編集できるので、好きなxy相関を指定し、xz相関やyz相関も好きな値を入れて試してみることができます。
計算式を丁寧に追いかけてみる
一方、3つの相関係数を指定したら、偏相関係数を計算する計算式を丁寧に追いかけてみることができるようにしてみました。
上の図では、xy相関が0.5、xz相関が0.3、yz相関が0.4のとき、左側にはその関係を図解で示し、偏相関係数が実際にどのような手順で計算されていくのかを右側に示しています。
図解の中の、背景が白い3つのセルだけは編集できるようにしてあるので、好きな相関係数を入れて、計算結果を確かめることができます。
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