(2):相対度数の問題って要するに文章読解問題?
わりとよく使うのは行比率だよね
クロス表の相対度数に関する問題は、何しろ間違えやすい感じがします。なぜかというと、
① どのセルの度数を、どっちの方向で(行方向か列方向か)相対度数にすればいいのか、さらに、
② もう一つのどの値と比較すればいいのか、
ということを正確に読み取らないといけないからです。これ、きらいな人が多いんじゃないだろうか。苦手な人はとことん苦手、というか。
時間に多少の余裕があるなら、相対度数表を2つとも作ってから問題文を読み直すほうがいいかもしれない。でも、試験中である。そんな余裕があるなら苦労しないさ。そうだよね。というわけで、選択肢で指摘されている相対度数を一つひとつ検討していく方が確実かもしれません。
はい? なんのヒントにもなっていない? そうなんですよね。
わかりやすい表現に置き換える練習をしよう
がんばってヒントらしきものを書いてみますと、「自分がわかりやすい表現に書き直す練習をしよう」ということになりますか。たとえば、です。次のクロス表を見てください。ありがちな調査の例(架空データ)です。
練習1
私にとって分かりやすいのは、「AのうちBの割合は?」という表現です。たとえば、「関東出身者のうち、しょうゆ味が好きな人は何%?」みたいな。どこのセルを見たらいいかわかるでしょうか。
「関東出身者のうち」とあるので、表側(いちばん左)に「関東」と書いてある行、つまり、「1行目」だけに注目する。
「え!?「関東」って書いてあるのは2行目でしょ?」と思った方はいませんか? そういう数え方もできるんですが、クロス表の行数・列数を数える時には、表側(関東とか九州とか)や表頭(しょうゆとかとんこつとか)は数えません。ついでに書くと、合計の行や列も数えません。だからこのクロス表は「2行×2列」です。だから、「関東」と書いてある行を「1行目」と言ったのですね。
次に「しょうゆ味が好きな人」とあるので、表頭(いちばん上)に「しょうゆ」と書いてある列、つまり、「1行目のうちの1列目」だけに注目する。
「え!?「しょうゆ」って書いてあるのは2列目でしょ?」と思った方はいませんか。「関東」が1行目であるのと同じ理由で、「しょうゆ」は1列目です。
ということで、1行1列目の「40」と書いてあるセルに注目します。
「1」に書いたように、「1行目」にだけ注目するので、「1行目」の「合計」つまり「50人」で割ると、相対度数(または割合、比率)がわかる。$${40\div50=0.8=80\%}$$ です。
練習2
順序を入れ替えた書き方を練習しましょう。たとえば、「とんこつ好きな人で関東出身者の割合は?」→練習1と全く同じになるように書き換えよう→「とんこつ好きな人のうち、関東出身者は何%?」
「とんこつ好きな人で」とあるので、「2列目」だけに注目する。
「関東出身者の」とあるので、「2列目のうちの1行目」だけに注目する。セルに書かれている度数は「10」ですね。
「1」で書いたように、2列目だけに注目するので、2列目の合計「40」で割る。よって、$${10\div40=0.25=25\%}$$ です。
「練習2」では、列の合計のほうを計算に使っています。どうしてでしょう?
「練習1」では、最初に「1行目」だけに注目しました。この時点で、計算に使うのは(割り算の後ろ側に使うのは)「1行目の合計=50」と決まりました。あとは、「何列目の数を割ればいいのか」が分かればOKでした。
「練習2」では、最初に「2列目」だけに注目しました。この時点で、計算に使うのは(割り算の後ろ側に使うのは)「2列目の合計=40」と決まりました。あとは、「何行目の数を割ればいいのか」が分かればOKでした。
なるほど、最初に書いてあるほうの合計を使えばいいんですね! OK!
ちがいまーす。
練習3
どっちの合計を使えばいいかよーく考えましょう。「とんこつ好きな人は九州出身者の何%?」
復習です。練習1と2は次の問題でした。
練習1「関東出身者のうち、しょうゆ味が好きな人は何%」
練習2「とんこつ好きな人で関東出身者の割合は」→「とんこつ好きな人のうち、関東出身者は何%?」
練習3「とんこつ好きな人は九州出身者の何%」→練習1と全く同じになるように書き換えよう→「?????」
解答案1:「とんこつ好きな人のうち、九州出身者は何%?」
解答案2:「九州出身者のうち、とんこつ好きな人は何%?」
正しいのは・・・解答案2!
「九州出身者」なので2行目だけに注目。合計は「40」です。
「とんこつ好き」なので、2行目のうちの2列目に注目。度数は「30」です。
よって相対度数は、$${30\div40=0.75=75\%}$$でした。
だからいったでしょ。
はい。3つ目の問題で頭がパンクした方に、私はこれ以上、話をすることができません。ごめんなさい。
というわけで、相対度数の問題は、ほぼほぼ「読解問題」でした。どうしても苦手だ、という方は、教えるのがとても上手な小学校の先生を探しましょう。これと同じようなことを、小学校の、たぶん5年生くらいがやっています。割合の問題って、難しいんです。計算が難しいというより、日本語が難しい。