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事業所得と副業かどうかは無関係に

以前にパブリックコメントについて記事を作成しましたが、パブリックコメントの結果を踏まえたうえでの通達の改正が行われました。
増税や基本的な考えを変えるものでは無い一方で、いままでグレーだった事業所得の判定が明確になる(しかも納税者にとって有利な方へ)画期的な内容と思います。

パブリックコメントの結果

https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCM1040&id=410040064&Mode=1

上記リンクがパブリックコメントの結果のページです。
先に注意いただきたいのですが、この結果の解説ページだけを読むと誤解を生むので、必ず通達の改正解説ページもご参照することを推奨します。
以前私が投稿した記事の内容と、上記リンクの「国税庁の考え方」というのは概ね一致していて、「従来からの考え方に変更を加えるものではありませんので、税負担額が変更されるものではない」とあります。
なので、やはり一部で見かけた「実質的な増税」という見解は当てはまらないもののようです。
画期的だったのは、「パブリックコメントにおける御意見を踏まえ、主たる所得かどうかで判定するという取扱いではなく、所得税法上、事業所得者には、帳簿書類の保存が義務づけられている点に鑑み、帳簿書類の保存の有無で所得区分を判定することとし」という点。
パブリックコメントの意見が、取り扱い変更に寄与したという点も素晴らしいですが、既存の義務である「帳簿書類の保存と関連付けて取り扱う」という着地は思いつきそうで思いつかない絶妙な采配だと思います。
なかなかの大岡裁き。

改正された通達

上記が改正された通達とその解説ページです。
解説が無いと最初見たときに「?」となるので、通達としての完成度には疑問を感じますが・・・。
取り扱いとしてはイメージ図の通りになるようです。
「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する」と従来からの取り扱い方針を維持しつつ、「なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(中略)には、業務に係る雑所得(中略)に該当することに留意する。」と帳簿書類の保存の有無を判定根拠の一つとして明記してます。
さらに「その所得に係る収入金額が 300 万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く」とすることで300万円という一つの基準と、帳簿書類の保存が無くとも該当するケースがあることを示しています。
誤解して欲しくないのは「帳簿書類の保存=事業所得」や「収入金額300万円超=事業所得」ではないこと。
なので、イメージ図の扱いに必ずなるのではなく、一部例外は存在すると思われます。

赤字の事業は事業所得に該当しないことが明確に

いままでも、私個人としては、同じことは言っていたのですが、今回この通達で初めて赤字が続くようなものは事業所得に該当しないことが明記されました。(※通達そのものではなく、通達解説での明記なので、ちょっと弱いですが)
実際のところ、実務レベルで否認されていた事例は多いと思われる一方、ネット等で「副業で節税!」のような悪質な記事が横行していたこともあり、ようやく一般的に「脱税(又は過度な節税)」と認識されていくのかなと思います。

副業する人はどうすればいいか?

今後、副業をする人はひとまず帳簿の備え付けをするようにしてください。
規模の問題は続けていれば大きくなるでしょうから、時間が解決する可能性が高いです。
とりあえず帳簿の備え付けをしておけば、事業所得として認められる可能性が高く、結果として青色申告が可能になります。
そうすれば特別控除や、家事関連費のうち事業共用分を割合で計上することが可能になり、断然得です。

改正の影響

事業所得に該当するケースが明確化したことで、実質的に副業がしやすくなったはずです。
複式簿記+電子申告(OR電子帳簿保存)で65万円までは税金かからずに副業ができる(もともと高額所得の人は別ですが)ことを考えれば、大分ハードルが下がったのではないかと思います。



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