見出し画像

「戦狼」対策は豪州に学べ 驕れる中国とつきあう法 山上信吾(駐豪州大使)

「とてつもないオウンゴール」で豪州国民に警戒感が広がった。/文・山上信吾 (駐豪州大使)

画像2

山上氏

日本外交官を試す「踏み絵」

「アンバサダー・ヤマガミ、何故日本はオーストラリアより遥かにうまく中国とやっているのですか?」

豪州着任以来、何人もの豪州人から聞かれてきた質問である。

外交の世界に足を踏み入れて40年近くになる。ようやく最近になって悟ってきたが、外交官はしばしば試される。踏み絵を踏まされるのだ。この質問が典型だ。

仮に「そうですね。日本は……」などと、したり顔で答えようものなら、蟻地獄に入る。「新任の日本大使はモリソン政権の対中政策を批判した」として利用されるのは必至だからだ。実際、このような質問をしてくる人の多くは、モリソン政権の対中アプローチや政策に懐疑的な立場だった。

そこで私は、少し意地悪な切り返しをすることにしている。

ここから先は

9,794字 / 1画像
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju

文藝春秋digital

¥900 / 月

月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…