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新書時評「ビートルズ、ドリフ、桑田佳祐」武田徹
評論家・専修大学教授の武田徹さんが、オススメの新書3冊を紹介します。
ビートルズ、ドリフ、桑田佳祐
「体に電気が走って、人生が変わりましたね」。1966年、公演のために来日し、都心に向かうビートルズの姿をテレビ中継で観ていた小学生時代を思い出して桑田佳祐はそう語ったことがある。
ビートルズなかりせばロック歌手・桑田は生まれなかった。そこまで強い影響を与えたビートルズとはどのようなバンドだったのか。小関隆『イギリス1960年代』(中公新書)によればその登場の背景には大戦後の緊縮政策から英国が脱出し、文化を消費する余力を備えた若者層が成立していた事情があった。
しかし、一方でビートルズは非60年代的でもあった。日本公演を含むワールドツアーでファンの嬌声にかき消されながら歌うことに虚しさを覚えたメンバーたちは、スタジオにこもって作品制作に没頭し始め、時代を超える普遍性をもった傑作を数多く生み出してゆく。
ビートルズの影響を論じる前に、もうひとつ、エピソードを紹介しておきたい。デビュー当時のサザンオールスターズはマスメディアでコミックバンド扱いされており、ドリフターズの『8時だョ!全員集合』にゲスト出演したこともあった。特にドリフのリーダーのいかりや長介は桑田をかわいがったと伝えられる。
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