詩|水沢なお
火曜日
手が触れた ユキヒョウが跳ねる 弟の 青いシャツのボタンを外す 家族で見たあの滝のように 塔を弾く指のように 階段をくだるように 氾濫する バスターミナルのせっけん水 ストール を 蛍光ペンで囲う 爪の中のプランター 転卵 さかさまの火 わかりあえないことが まだわからなくて うずら色のパッチ ひたいでうねるさざ波 感熱紙を白い歯で撫ぜるみたいに 甘いつちのなかに根を張る かいたいと口にする 背が伸びたふりをする 光る窓を作成する 笑ったりする ありようを恋で例えられる 植えられる また笑ったりする
ここから先は
0字
noteで展開する「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。同じ記事は、新サービス「文藝春秋 電子版」でお読みいただけます。新規登録なら「月あたり450円」から。詳しくはこちら→ https://bunshun.jp/bungeishunju
文藝春秋digital
¥900 / 月
月刊誌『文藝春秋』の特集記事を中心に配信。月額900円。(「文藝春秋digital」は2023年5月末に終了します。今後は、新規登録なら「…