短歌 谷川電話
抱擁と副葬品
浴槽に泡を降らせる降らせても野蛮になることのない泡を
背もたれに一枚の羽根 わかりやすい天使は乗客に見当たらず
みずうみにきみと浮かんでそういえば一瞬も永遠もいらない
銀色のコーヒーミルに抱擁を映そうとして踏んだクッキー
薄暗いベランダにいて幽霊の恋人たちと呼ばれるかもね
水槽を光と影を飼育するために窓辺に置いてそれから
音楽はきみの体のその泡を副葬品にしていいですか
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